精神科Q&A

 【1365】父は単に歪んだ性格なのか、それとも精神疾患か


Q: 40歳代女性です。軽度の鬱で治療中です。幼少の頃から、父親(現在75歳)に対して、嫌悪感を持ち続けておりましたが、このサイトを読ませていただいて、ひょっとしたら、単に性格が変わっているのではなく、なんらかの精神的疾患なのかもしれないと思い、是非先生の見解をお聞きしたいのです。

これが一番、古い記憶なのですが、私がわずか、2歳の時のことです。父は私を電気の消えた真暗な部屋のソファに座らせ、じっとするように、命じました。その直後フラッシュをたいて、ポラロイドカメラでパチリ。真暗な中でいきなりフラッシュをたかれ、恐怖で泣き叫んでいた娘の姿をみて、父は楽しげに笑い転げていました。私の父への憎悪、嫌悪といった気持ちはこのときから、芽生えたのを覚えています。

また5歳くらいの頃、50音を言えない私のの頬を平手打ちし、恐怖と緊張で答えられずにいると、”こいつの成長は大丈夫か?脳の病気じゃないのか!”とすごい剣幕で母に怒鳴り散らしていました。小さい子供が恐くて萎縮している・・・そんなことも思い計れない父親でした。母が階段から、転げ落ち、背骨を損傷したときもベットの脇で”なんでお前はこんなに迷惑ばかりかけるんだ!ばかやろう!”っと半身不随になるやも知れない母を元気づけるどころか、怒鳴り散らし、離婚を持ち出しました。
母が安静ののち、大事に到らないとわかると、離婚のことは口にしなくなりました。

父が私と関わる、唯一の手段は、私に馬乗りなって、押さえつけると言う”遊び”でした。これは私が小学校から、高校を卒業するまでの間、続けられました。小学校のときは、恐怖心でいっぱいになり、泣きました。そして中学高校のときは、屈辱感と父に対する憎しみで泣きました。そして泣いている娘をみて、父の”遊び”は満足感でみたされた笑いとともに、終了しました。

父は、会社の経営者でしたが、部下の方たちにも差別用語や罵声を毎日のようにあびせていました。父が人を傷つけるとき、一番するどいナイフのような汚いことばをつかいます。そして父から発せられる言葉の大半は人に対する、批判、悪口また虚言や罵声などネガティブなことで占められ、あいさつや感謝、他人への当たり前の配慮などポジティブな言動は、いっさいなしです。

父は56歳のとき、脳卒中になり、以前ほど怒鳴り散らすことはなくなりましたが、病気になってから、周囲の反対を押し切り、銀行から貸し付け、その事業がしっぱいしましたので、現在3億円以上の借金を背負っていますが、返す能力のない者に貸した銀行が悪いんだから、ほっときゃいいんだ!っと本気で言っています。いつもそうなんです。人には100%のことを求めるのに、自分自身はまったく責任感がなく、事体が悪くなると、相手に責任転嫁します。

今現在、介護を必要とする障害者となりました。たしかに身体は不自由なのですが、排泄物の処理など、意図的に人手を煩わすようなことをします。”面倒をみろ!”っといわんばかりに・・・。

家族の中でも、女性である母とわたしにはきつくあたりますが、男性である兄は昔から優遇されていて、このような態度にでたことがありません。
父の父親にあたる人が自殺して亡くなっていて、今もなお、恨んでいるようです。(45年以上も前のことです)父の歪んだ性格はこのことにも関係しているように思われます。

私はいま現在、鬱の治療を受けています。軽度といっても大変苦しい日々を送っています。その一因として、父親との確執があげられますので、未だ払拭できない諸々の感情がありますが、父のこのような言動は何らかの精神的疾患がもたらしたものではないか?と最近思うようになり、先生のご意見をいただけたらと思っています。


林: お父様に何らかの精神的な問題があることは確かだと思います。このメールの内容だけから判断すれば、人格障害(パーソナリティ障害)ということになるでしょう。そして人格障害と、あなたのおっしゃる「歪んだ性格」との区別は困難です。
 もしメール以外の情報があれば、別の診断になるかもしれません。
 しかしいずれにせよ、今の時点でお父様の診断を確定しても、あまり意味はないと思います。あなたはあなたの治療に専念すべきでしょう。もちろん治療の過程で、お父様との関係の見直しが必要になることもあるかもしれませんが、その場合も、お父様の正確な診断名が何であるかということはあまり問題にならないでしょう。


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