精神科Q&A

 【1309】 前頭葉の血流低下があり、大脳基底核変性症と診断されました


Q【1204】脳の検査で前頭葉血流低下がみつかり、うつ病でないことがわかりましたを拝読し、3年前に77歳で亡くなった、うちの父親の状態に似ていると感じました。

父親もまず体が動かないといって寝たり起きたりの状態になり、脳CTもMRIにも異常がなく、経過をみているしかなかったのですが、悪化する一方のため、病院を変えたところ、前頭葉の血流が悪いと言われました。

その後、左手足に振るえが出はじめ、昼夜を問わず叫び続ける症状がはじまり、やっと7年越しで、大脳基底核変性症という診断がつきました。

この診断で、家族は「治らないもの」としてやっと諦め、次の方向を見ることができました。

しかし、叫び声と父親の不眠はいよいよ衰弱するまで続きましたので、自宅でも入院先でも非常に困り、入院先では苦情が出ないように、常に失語症のある患者さんとの同室でした(相手の方に申し訳なかったです)。

自宅ではあまりのうるささに家族が眠れず、全員で強力な睡眠薬を飲んでいましたが、近所の方も迷惑されたと思います。

【1204】の方の父上が、昼夜叫んでいる状態にあるからには、少なくともご家族にとってはせっぱ詰まった危急の状態であろうと思い、我が家の例をお伝えしてみました。

しかし素人ですので、見当はずれなことを書いているのかもしれません。そのあたりはご了承くださいませ。


林: 貴重なご体験をご報告いただきありがとうございました。【1204】の回答にお書きした通り、うつ病とみられていたケースで前頭葉の血流低下が発見された場合、血流低下の程度や分布などによっては、うつ病ではないという診断に傾くこともあり得ます。この【1309】はその実例ということになります。大脳基底核変性症は、稀な疾患で、大脳基底核と呼ばれる、脳の深い部位が変性し機能が低下していくという進行性のものです。経過中、うつ病に似た症状が出ることもありますが、症状からの診断の決め手は、身体の片側にパーキンソン症状が出ることです。この【1309】では、

左手足に振るえが出はじめ、

が、片側のパーキンソン症状にあたります。この症状と、脳血流の所見などをあわせて、大脳基底核変性症の診断が確定したものと思われます。

大脳基底核変性症には、現在のところ根本的な治療法はありません。【1309】は3年前に亡くなられたとのこと、お悔やみ申し上げたいと思います。
 このようにして、貴重なご体験を公表していただくことが、特にこのような稀な疾患では、人々の理解を得られ、さらには治療法の開発への第一歩となると信じます。ありがとうございました。


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