睡眠薬と睡眠導入剤



 あえて言えば、作用時間 (ふつう「半減期」といいます。) が短いものが睡眠導入剤と呼ばれることがあります。こういう薬は睡眠のはじまりの時だけに効果があり、朝に近くなると効果が消えてしまいます。ですから、寝つきだけが悪くて、いったん眠りさえすれば問題ない人に適しています。代表的なのはレンドルミン、ハルシオンなどです。


ただしそういう薬をあえて「睡眠導入剤」と別の名前で呼ぶことにはあまり意味はありません。作用時間が長い・短いというだけで、薬としての作用は同じだからです。

それでも「睡眠薬」「睡眠導入剤」という名前にこだわる人は意外と多いものです。おそらく、昔、というのは昭和20年終わり頃ですが、睡眠薬の乱用があったため、「危険な薬」「自殺に使われる」「習慣性があってやめられなくなる」などのイメージが強いのだと思います。確かに当時主流であったバルビタール系と呼ばれる薬にはそういう問題がありましたが、今の薬は大きく改良されています。

もちろんだからといって絶対安全ということはありません。間違った使い方をすればどんな薬でも危険です。「睡眠導入剤」と名前を変えることで安全というイメージを持ち、一方で危険なものを「睡眠薬」という名前の中に押しこめてしまうことは逆に非常に危険な態度だと思います。

 

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