精神科Q&A

【1283】うつ病の症状で、悪い夢を見ることはあるのでしょうか


Q: 45歳男性です。うつ病を発症して3年近くになります。
約2年6ヶ月前から精神科医で治療を受けています。現在6ヶ月の期間を貰って休職中です。
休職前の症状では「・集中力がない・物事が段取りよくできない・頭が回転しない・本が読めない・職場の空気が読めない・指示代名詞で指示されると分からない・難しい話をされると理解できない・記憶力の低下」がありました。
現在休職中でぼーっとした生活を送っているためか、うつの症状も軽いと思います。

お聞きしたいのは最近嫌な夢ばかりみるようになったことです。
見るのは「自殺する夢、大量殺人する夢、犯罪を犯す夢、離婚される夢、家族に不幸がある夢、過去交際していた女性が出てくる夢」です。
何回も見ます。横で寝ている妻が言うには寝言で大声を出したり、うなされているそうです。病気になる前にはここまで嫌な夢を見ることはありませんでした。

発病直後には自殺願望があり、飲酒の上自殺をしようと決意したことが何度かありました。
結局子供の寝顔を見て出来ませんでした。
現在強い自殺願望はなく、たまに自殺願望が沸き上がってきますが実行しようとは思わない状態です。

服用中の薬は、朝昼夕にトリプタノール25mg3錠、テグレトール100mg 1錠、スルピリド50mg1錠、エスチカーム0,5mg1錠で夕食後パキシル20mg2錠をプラスしています。
寝付きは悪い方なので飲酒して寝ています。
このような症状ですが、嫌な夢を見るのはうつ病の症状でしょうか。


林: うつ病の症状として、悪夢を見ることはあります。しかし、抗うつ薬の副作用として、悪夢を見ることもあります。この【1283】のケースでは、夕食後に服用しているパキシルが、悪夢の原因かもしれません。

病気になる前にはここまで嫌な夢を見ることはありませんでした。

とのことですので、うつ病が原因か、抗うつ薬が原因かのどちらかでしょう。それを見極めるには、

最近嫌な夢ばかりみるようになったことです。

この「最近」というのがいつで、処方変更との関係がどうかについての情報が必要です。
もしパキシル服用開始時期と関連しているようなら、パキシルが原因であることはほぼ間違いないでしょう。
その場合は、パキシルののみ方を変える・パキシルを中止する、などの対処が考えられます。但し、あなたのうつ病は現在の治療でかなり改善しているようですので、直ちにパキシルを中止することは勧められません。まずは服用時間を夕食後でなく昼食後か、あるいは朝食後などに変えてみるのが適切でしょう。

また、たとえパキシルの処方開始と時期的にあまり関連がないようでも、服用の時間を変えてみるのは試みていいと思います。

それから、

寝付きは悪い方なので飲酒して寝ています。

とのことですが、その飲酒量の情報もほしいところです。
それが大量であればやめるべきなのはもちろんですが、たとえいま大量でなくても、うつ病に伴う不眠をアルコールで解消するのは、依存症に進展する可能性が高く、やめるべきです。
悪夢の対策と合わせて、アルコールをやめ、睡眠薬を使用することが勧められます。アルコールの依存性に比べれば、睡眠薬の依存性はわずかなものでしかありません。


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