精神科Q&A

【1262】17歳の娘が「重大なうつ病」と診断されたくさんの薬を処方されましたが納得できません


Q:  46歳の男性です。先日17歳になった都立の進学校の2年に在学する娘に付いて、御相談頂きたく。

2年進級後、下校後疲れてすぐ眠り、夜起きている関係か、朝起きられなくなって学校を休みがちになり、登校した際にも、時々手が震えることがあるなどの症状が出始めました。

色々とサイトを検索し、パニック障害ではないかと、あるNPO法人のサイトで推薦されていた、近くの心療内科を受診したところ、同行した家内から娘の状況も問われることなく、30分程の本人への検査の結果、親が考えているより重大なうつ病と診断され、原因等も何も説明されぬまま、気分を明るくする薬や、睡眠薬等3種類の薬が処方され、3ヶ月程学校を休学し休ませる様に言われました。その後、今度はうつ病のサイトは色々と見てみたところ、どうも一般に言われるうつ病の症状とは、下記のように異なるような気がしてなりません。

(1) うつ病の場合は、一日中気分が沈み、何もする気が起こらないはずなのに、娘の場合は、気分が沈んでいる様子はない。音楽を聴いたり、風呂では歌を歌ったり、大学へは何とか早く進学したいと自ら勉強したり(中間テストの間は朝起きるのも辛そうでしたが、何とか全日登校しテストを受けました)、ウィンドウショッピングをしたりと、必ずしも全てにおいてやる気が無いわけで訳ではなく、自分の興味のあることには逆に積極的な面も見られる

(2) 朝起きられないといっても、上記の如く、昼寝をし夜起きているせいで昼夜逆転し、朝起きられないだけで不眠で悩んでいる訳ではない。

(3) あくまで、本人の言葉だが、学校へ行きたくない理由が、校則が厳しいとか、一部の先生の授業がつまらなく聞いている意味がないとかで、友達とは会いたいと言っている。

娘は、思春期であるせいか、家内とは普通に会話をしていますが、ここ1−2年私とは殆ど話しをせず、それも仕方ないと思いつつ見守っておりましたが、先日誕生日に、無理に学校へ行かなくてもよいから、何年かかってもよいからゆっくり自分の将来を考えなさい。それまでは、少なくとも私が80歳になるまでは面倒を見るからと言った矢先の上記診断でした。

本当にうつ病なら、上記の様な治療が確かに有効な様ですが、正直夫婦共々、納得していません。

勿論、次回の通院の際には、私自身も娘に同行し、失礼にあたるかもしれませんが、上記疑問を主治医にぶつけてみるつもりですが、一方で林先生の御意見もお伺いしたく。先生のサイトで紹介されております擬態うつ病や、境界性人格障害ではないでしょうか?

娘は、上記の如く、興味のあることには積極的ですが、嫌なこと関心のわかぬことには全くやる気を見せず、注意を払わぬところがあります(私への対応もそうですが)。

以上出きる限り現状を記載したつもりですが、御回答頂ければ幸甚です。


林: 確かにうつ病らしくないと思います。理由は質問者の指摘の(1)(2)(3)の通りです。
では診断は何かということになりますが、

擬態うつ病や、境界性人格障害ではないでしょうか?

うつ病とされている、あるいは称しているが、実際にはうつ病ではないものを擬態うつ病と(私は)呼んでいますので、この定義に従えば擬態うつ病ということになりますが、それは「うつ病ではない」という以上の意味はありません。
境界性人格障害の可能性は低い、というよりも、このメールに書かれている内容だけからですと、境界性人格障害の可能性を考える必要は全くなさそうですが、書かれていない情報の内容によってはこの判断は変わって来ます。

それより気になる点は、

30分程の本人への検査の結果、親が考えているより重大なうつ病と診断され、

という診断です。この「親が考えているより重大なうつ病」は意味深長です。

原因等も何も説明されぬまま、気分を明るくする薬や、睡眠薬等3種類の薬が処方され、3ヶ月程学校を休学し休ませる様に言われました。

処方内容を記していただきたいところでした。それがあれば判断の質がかなり違ってきますが、処方が不明な段階で判断を試みるとすれば、「親が考えているより重大なうつ病と診断」「3種類の薬が処方され」「3ヶ月程学校を休学」という三点からは、医師は実は統合失調症の疑いありとみていると考えられます。また、

2年進級後、下校後疲れてすぐ眠り、夜起きている関係か、朝起きられなくなって学校を休みがちになり、登校した際にも、時々手が震えることがあるなどの症状が出始めました。

このような発症の仕方も、統合失調症として矛盾はありません。

とはいうものの、いかにも情報不足です。

次回の通院の際には、私自身も娘に同行し、失礼にあたるかもしれませんが、上記疑問を主治医にぶつけてみるつもりです

是非そのようにされ、最も適切な対応をされることが必要だと思います。


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