精神科Q&A

 【1247】副作用が出たら抗うつ薬の処方はすぐかえるべきなのでしょうか


Q:  43歳 男 無職 心療内科に通院中の者です。(うつ病ではないと言われていますが)、抗うつ薬の処方に対する疑問がありましたのでメールさせていただきました。

私は心の不調を治したく、都内の心療内科クリニックで「うつ」状態と診断され,パキシル10mgを処方され4日服用しましたが、吐き気がひどく(実際に吐くことはなし)先生に相談しましたが、やりとりとして 先生「じゃあ薬を変えましょう」私「もう変えるんですか?」先生「だって辛いでしょう。この程度の量でそんなでは続けられません」そして、ジェイゾロフト(数字は忘れました。最小限の量です。)を処方され1週間服用しました。パキシル程ではありませんでしたが、また吐き気があり再診をしました。先生「薬変えましょう」私「でもうつ剤は2週間ぐらい飲まないと効果を判定できないのでは?」先生「あなたの場合は1週間飲んでも副作用の程度が変わらないとの事だし、普通は3日、4日ぐらいがピークでそれを過ぎても吐き気が弱くならないなら今後の増量には耐えられないでしょう。今度はトリプタノールを出します。副作用少ないですから。」私「・・・・」これらのやりとりの中で副作用についての説明、対処の仕方、吐き気止めの薬の処方は一切してくれませんでした。(私も聞きませんでした)私としては重大な副作用が無い限り、我慢して一定期間薬を飲んで、副作用が出ればその対処薬等で対応するのが普通と思っていたので納得できませんでした。(トリプタノールは副作用が少ないという説明も理解できない)こんな経緯もありそのクリニックに対する不信を持ち通院をやめました。

 そこで林先生にお聞きしたいのは、私の病状はおいときまして、初めて抗うつ薬を処方する場合、その薬が効果があるかどうか判定する前に多少の副作用があるからといって(副作用がとても我慢できないという場合はしょうがないんでしょうが)そう簡単に薬を変えていいのでしょうか、副作用があるならその対処薬を出して少しでもその苦痛をやわらげたり、患者によく説明し精神的にもフォローし、薬の効果の有無を判定するのが普通なのではないのでしょうか?


林: 
初めて抗うつ薬を処方する場合、その薬が効果があるかどうか判定する前に多少の副作用があるからといって(副作用がとても我慢できないという場合はしょうがないんでしょうが)そう簡単に薬を変えていいのでしょうか

そう簡単には変えないのが普通です。

副作用があるならその対処薬を出して少しでもその苦痛をやわらげたり、患者によく説明し精神的にもフォローし、薬の効果の有無を判定するのが普通なのではないのでしょうか?

それが普通です。

けれども、その前に重要なことは、

私の病状はおいときまして、

というわけにはいかないということです。薬物療法でもっとも大切なのは、症状です。症状に対してその薬の効果がどうか、それがあってはじめて副作用はどうかという問いが生まれるのです。ですから、「私の病状はおいときまして」という前提をされた場合、副作用について論ずることは無意味です。したがって、この【1247】では、症状についての記載がメールにないので、本来はお答えすることは不可能です。病状と独立して薬物療法は存在しないからです。副作用について質問を受けることはよくあるのですが、肝心の症状についての十分な情報がなければ、副作用について語ることは不可能です。この【1247】の回答は、それをお伝えするためにあえて致しました。



精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る