精神科Q&A

 【1187】落ち込みがひどいため3ヶ月前から通院中ですが、経過が思わしくありません


Q: 30代男性です。精神科通院中で投薬を受けていますが、最近、平気な状態(普通の状態)でいられる時間が長く、時々深く落ち込む、落ち込んだらなかなか戻ってこられない、という状態で自分自身、「もしかして擬態うつ病なのか?」などと考えてしまうようになりました。仕事量が激増し、反面、自分の気持ちが、さっきまで平気だったのに今はだめ、のような状態になったりして、不眠も重なり、心身ともに衰弱しています。
詳しい経過をお書きします。

●通院直前の状態
 定期的に以下のような状態があり、間隔が長いとき、短いときが比較的ゆっくりした周期でありました。
 通院開始直前、10月頃からだと思いますが、この周期が変わってきて、落ち込みが長く、普通でいられる期間が極端に短く、逆に落ち込みが短く、普通が長く…フラットでいられる期間がだんだん短くなってきました。

・食欲低下
1日1食か断食(休日はほぼ断食に近い。土日休の時は2日で1食程度が多い)。意識してのことではなく、以前から休日は割とこういったパターンが多かったが食べる量が激減した。

・話をしようとしても頭の中が真っ白になり、整理がつかない
先生にこれらの話をしようと思って行くのですが、いざ診察室に入ると頭が真っ白になってしまって、何をどう、どこから話せば良いのか全くわからなくなってしまうため、断片的なことしかお伝えできないのです。
・駅や空港等、雑踏の中では何かの発作のような息苦しさ、圧迫感があり、脂汗や動悸が激しくなることが多く、ipodにお気に入りの曲を入れておき、気を紛らわせたりしていましたが、効果はあまりありませんでした。

・職場で注意された些細なことでもひどく落ち込み、何もできなくなる
(工具の置き場所を間違っていたことを軽く注意されたことで、その後はその工具を使用した作業が怖くてできなくなった)

・過剰な反応(ドアが急に開いたりすると心臓が止まるのではないかと思う位驚き、腰が抜けた状態になったり動悸が激しくなったりする)
生活音でも少し大きめな音(例えばコップを落とした音)等には過剰なまでの反  応をしめす。

・不眠
かなり以前から不眠傾向にあり、市販薬(ドリエル)で誤魔化していのですが、次第に効きがわるくなり、1度に2回分服用しても眠れなくなりました。

・倦怠感
何もやる気が起きず、ひどいときには出社前には下痢、嘔吐、腹痛、頭痛等があり、何度か欠勤したことがあります。欠勤の電話連絡後はケロッとしていて、好きなように過ごしていました。

<仕事について>
・昨年夏頃から、理路整然と物事をかたづけることができず、やり残しや手つかずの仕事が山のように増えていき、同僚に迷惑をかける事が多くなりました。以前は全くそのような事はなく、派遣社員時代からある程度の仕事は任されていて、派遣社員である私が正社員に指示を出す、といった状況もよくありました。
※現在は派遣社員ではなく、準社員になっています。
・会社は、本社、A工場(ともにA市内)B工場(遠隔地)の3カ所で構成されていて、私はA工場で機械の製造を担当しております。
近々予定されている、社内のコンピュータ更新に併せて、全社をネットワーク化することが決定し、サーバーの管理・運営から、メンテナンス、セキュリティの確保等、検討・対応するプロジェクトチームに選ばれ、参加することになりました。
どちらかというと得意分野なので会議自体は苦ではなかったのですが、実際に A工場での製造作業、A工場内のパソコン管理・保守を受け持っている状態での会議は少々負担になっていたかもしれません。
会議は本社で行われるため、A工場での作業を早めに切り上げ、本社へ移動し、そのまま帰宅して会議の要点を纏め、翌日はA工場へ会議の報告をする、というパターンでしたが、同僚から次第に「仕事の進捗に影響がある」から(実際にその時期はそれほど多忙でもなく定時で帰る日が多かった)などと遠回しな嫌みを言われたり、上司からは「何で正社員でもないお前が会議に出るんだ」とか、「無駄な会議に出る暇があるなら仕事をしろ」などと責められることが続きました。実際、人選は本社の元の上司の推薦があったためで、私自身が名乗り出た訳ではありません。
その後、このプロジェクトチーム自体が社長命令でスタートしたことが周知されたためか、直接的に言われることはなくなりましたが、相変わらず「余計なことする暇があるなら仕事しろ」と言う上司がおり、次第に孤立感が強まってきました。週の初めは特に気分が重く、居場所がない感じがしたり、死んだら楽なんだろうな、などと考えることが多くなりました。
・死の願望
死んだら楽だろうな、と思うことはかなり多くありますが、実際に行動に起こしたのは数年前、以下に説明していますが、自己破産したときとその後2回ほどです。
転落事故のとき死んでしまえばこんな辛い思いをしなくて済んだのに…などとふと考えていることがあります。

・「うつ」の意識
通院を決める直前まで、私自身がうつであるという意識をしたことはありません。ただ、普段より何か調子悪いな、程度の意識でした。うつについての知識が全くなかったからかもしれません。

 ここまでが通院前までの状況です。
通院を決心したのは単に「楽になりたい」ということだけでした。
 良いのか悪いのかは別として、インターネットで検索すると「うつ」らしいという判断に至りました。
 医学書を見ても素人にはわかるはずがなく、WEBでの情報だけですから、もちろん正しいものもあれば、根拠のないでたらめなものも多くあります。思いこみだ、と言われればそうなのかもしれません。
 ただ、間違いなくいえるのは上記の症状が実際に起きている、ということです。

●心当たりのあるきっかけ
 私がうつであるとしたらという前提ですが、原因となり得る心当たりがいくつかあります。
・X年6月に仕事中(電気工事業の自営)事故で屋根から転落し、大腿骨頸骨骨折、肋骨骨折、肺挫傷等で3ヶ月入院したことがあります。ちょうど受注が多かった時期でもあり、材料仕入れ等の買掛金が多額だったこと、リハビリに3ヶ月近くかかったため退院後も仕事の復帰が困難だったこと、歩行障害が残り、満足に業務をこなせなかったこと等のストレスがあり、入院中から今後の生活や支払いについての不安があり、夜は全く眠れない状態が続いたことがあります。院内処方で睡眠薬を出してもらったことがありますが、種類はわかりません(記録を残していません)。
病室で隣のベッドだったおじいさんが亡くなったり、向かいの部屋のおばあさんが亡くなったり、毎日毎日3ヶ月もの間、ずっと「死」を目の当たりにしていたためか、私の怪我は命に別条無いと言われても常に「死」の恐怖を感じていました。

・また、同時期に婚約者から私の入院を口実に別れを告げられ追い打ちをかけられました。婚約者の家から病院まで、車でゆっくり来たとしても1時間程度ですが、見舞いには手術前後2回だけ、しかも2回目には私の知らない男を連れてきていたようです(後日本人談)。実際に私は会っていませんが、そのときの面会は僅か数分、これからどこかに遊びに行くついでに立ち寄った、というような感じだったことだけは覚えています。その晩に、婚約解消のメールが届きました。
その晩はひたすら泣くしかなく、見回りに来たナースに促され、気持ちが落ち着くまでナースステーションで話し相手になってもらいました。

・退院後はリハビリを兼ねた歩行訓練のため、警備員のアルバイトをして生活しましたが、収入は激減し、借金の返済に間に合わず、X+5年に自己破産を申し立て、免責を受けました。借金の心配が無くなったと少し気が楽になった筈でしたが、結果的に踏み倒したことで債権者の皆さんに対しての罪悪感が日々強くなり、このころ自殺未遂をしています(時期はよく覚えていません)。

・父親が私とは別に自営をしていたのですが、高額の借金を残して失踪し、昨年春頃まで闇金とおぼしき不審な人物に尾行されていた(父親との接触をすると思っていた様子)ことがあり、警察に相談したこともあります。
無言電話は当たり前で、金返せ、と書かれた張り紙が玄関にあったり、夜遅くに取り立てが来たり、書いた覚えのない私名義の連帯保証等もあり(明らかに筆跡は異なりました)、これらは破産時にお世話になった弁護士先生に一括して対応をお願いしたところ、ぴたりと止まりました。
この時期は家に戻っても部屋の明かりもつけられず、トイレも風呂も我慢してひたすら隠れた生活を強いられていました。
この生活が、私が退院した頃からX+4年春まで、ずっと毎日のように続いていました。当時とは自宅の電話番号も携帯電話の番号も全て変えたので連絡はありませんが、裁判所から支払督促が届いたことがあり、その対応も弁護士先生にお願いしたところ取り下げられたという連絡がありました。

 これらのことは直接関係のないことかもしれませんが、大きなストレスの要因であることに違いはないと思います。

●通院後(今)の状況
 気のせいなのかもしれませんが、通院直後は落ち込みがひどいことは少なくなりましたが、かといって普通の状態でいる訳でもなく、軽〜重の落ち込みを行ったり来たり、を繰り返しています。
 現在時点で薬の副作用と思われるものも含めての状況を説明します。
・上司への報告
 うつのような症状が見られ、身体的、精神的にも参っているため、通院をしている。通院のため、金曜日は定時で退社させて欲しい、と申し出ています。これについて了承は得ていますが、本社にはまだ報告していません。
私の勤務するA工場は、現場の課長、統括役の部長がいるだけで、製造部門の出張所的な地位にあり、総務へ(勤怠の関係もあり)報告が必要なのではないかと心配しています。この件は折を見て報告するつもりでいます。
現状では、金曜日の定時退社の他は、余程具合の悪いときを除いて多少無理して出社している状況です。

・無理にテンションを高くしている
会社にいる間は意識してテンションを高くしています。その反動なのか、帰宅後や休日はぐったりしていることが多くあります。

・昼間、強烈な睡魔に襲われる
午前・午後各1〜2回程度、記憶が全くなくなっている時間帯があります(短時間熟睡しているような感じ)いずれかの薬の副作用なのか、飲み方、時間等が適切でないのか不安があります。最近頻度が増してきているような感じがします。

・記憶力が低下した
従来は一人で1台〜2台の装置を担当していましたが、仕事量が激増し、作業者の能力に応じて2〜3台の装置を掛け持ちで担当することが多くなってきました。
私の場合、最大時3台+仕様変更のための改造を受け持つ状態が断続的に続き、どれがどれだったのかさっぱりわからなくなってしまうことがあります。
この程度なら誰でもあり得ることなのですが、今日やるべき事、ここまで終わらせなければならないこと等、覚えていたはずのことが思い出せないことが多くなってきました。最近はメモを取るようにしています。今さっきまで使っていた筈の工具をどこに置いたか思い出せないこともしばしばあります。

・意欲の低下・無感情
物事への取り組み、関心が著しく低下しています。以前は毎朝必ず目を通していた新聞は今年に入ってから数回しか見ていません。テレビ番組も見ることがなくなりました(もともとテレビ番組はあまり見ない方)。

食欲はほとんど無く、空腹感はあるものの、食べたいと思いません。

写真を撮るのが趣味ですが、今年に入ってから全くカメラ自体にも触っていません。以前は休みごとに近場で花や風景の写真を撮っていましたが、今は全くそういう気になれません。夕日を見て綺麗だ、とかかわいい花が咲いている、という感情が全くなくなっています。嬉しい、楽しいという感情はなく、悲しい、辛い、という感情だけはあります。

・気分の変動
日内変動は朝気分が重く夕方は元気というものだそうですが、私の場合周期が極端に長いです。朝から晩まで気分が重い状態でいることがほとんどです。
5段階で表す(3を基準として)と、1〜2が3〜4日ほど続き、2〜3が2〜3 日間くらいの周期。4は滅多になく、5は全くない。全てを惰性でやっているだけのようで積極的に動こうという気持ちが起きません。

日中、突然何の前触れもきっかけもなく発作的に涙が出てきたり、動悸が激しくなったりすることが時々あります。今年に入ってから顕著で前回診察時にグランダキシンを処方していただきましたが、効果が出ているのかはわかりません。
夜、寝ようとして布団に入ると訳もわからず涙が出てきたり、寝ながらも涙を流していることもあるようで、枕が濡れていることが数回ありました。

他人に対して、そっとして置いて欲しい、と思う反面、構って欲しい、と思うことがよくあります。無性に寂しくなりますが、私から歩み寄って行けません。

・家族関係
母親に通院のことを相談したところ(通院直後)、「キチガイになったのか」と暴言を吐かれ、私の意志が弱いのが原因だ、などと言われかなり落ち込みました。その後、数回うつと断定された訳ではなく、うつに似た症状があるので通院している、と説明を試みたのですが、そのたびに私の意志の問題だ、と一方的に話を打ち切られました。それ以来、必要最低限の会話以外、私の方から一切の会話を拒んでいます。今後も重要なこと以外は話をしないと思います。理解を得られない事のショックというよりも、自己破産の時にかけた迷惑、あるいは父親の失踪、借金取り…これまでの苦労を考えるととても言える気になれません。
うつに関して理解を得るのは無理です。

・睡眠
ロヒプノール2mgの残が1週間分ほどあり、眠れそうにないときは2mgを使用しています。1mgだけだと眠りが浅すぎる感じで、熟睡感がほとんどありません。寝ていても頭はフル回転しているようで、怒られている夢をよく見ます。
年末から正月明け頃までは、しばらくロヒプノールを飲まないで眠ることができたのですが、最近では全くだめです。1mgに戻してもらった後はほとんど効いていない感じで、むしろ夕食後服用のメイラックスと一緒に飲んだ方が眠れる位です。入眠障害と睡眠障害を足したような感じです。眠りに入れても車が通る音や雨音で目が覚めたりすることが多く、ぐっすり眠れることは稀です。

夜中、2〜3時にたいてい目が覚めます。トイレに行きたい訳でもなく、その後寝られるときと寝付けないときがあります。

・仕事量
1月末より先月比で約2倍以上の仕事量になりました。体は疲れているが気持ちが落ち着かないためかなか眠れない。頻度は週3〜4回程度。夢を見ていても仕事をしている夢ばかりです。

・薬の服用
朝 メイラックス グランダキシン オメプラール を各1錠ずつ7時頃に服用
昼 グランダキシン 12時頃に服用
夜 メイラックス グランダキシン を各1錠ずつ18時〜22時の間(帰宅後)に服用
就寝前 ロヒプノール ネルボン 各1錠(眠れそうなときは服用しない)

※現在、メイラックスからデプロメールに処方が変わっています


・体重の変化
昨年同時期と比較して相当な現象傾向にあります。今まではきつかったズボンが今はかなりゆるくなっていて(2〜3年前は110キロ位。最近90キロ台前半)ベルトをしないとずり落ちてきます。ウエストまわりは通院前と比べて(約4ヶ月で)10cmほど細くなっています。
もともと食生活が不規則だったこともあり、自営時代は朝はごく少量か抜き、昼はコンビニ弁当かファーストフード、夜は家で普通に食べるか外食、ということが多かったのですが、最近は朝少量、昼ぬき(薬のみ、またはパンかビスケット類)、夜少量、と食事の量を減らしています。肥満を意識してのこともありますが、全般的に食欲がない。食べたくないのです(もちろん普通に3食とることもありますが、味がわかりません。機械的に食べているような感じです)。

・不安感、恐怖感
通院を始めてから、安心感が少し出てきたような感じもあるが、相変わらず不安感や漠然とした恐怖感が強い。気持ちが落ち着かず、イライラしたり上司に怒られたあと(いわれのない叱責)で涙が止まらず仕事になりませんでした。言いたいこと(反論)もいえず、ただ黙っていることしかできず、その最中にも動悸が激しくなったり脂汗が出る、ふるえが止まらない、などの症状が出る。

・自分を責める
何かにうまくいかなくても、なるべく「そんなこともあるさ」程度に思うようにしていましたが、最近そう考えること自体に罪悪感を感じます。責任を放棄しているとか、うまくいかないのは私のせいだ、という考えが強くなっています。
ただ、落ち込んでいる時でも比較的冷静に自分を見ることができる時期もあり、常に自分を責め続けている状態ではありません。入れ替わりが激しく、浅い落ち込みのあとに短時間ながらもやたらと元気になったり、その後再度深く落ち込んでなかなか戻れなかったりします。

●性格
・友人達から見た評価(カッコ内は私自身の認識)
負けず嫌い(その通り)
どちらかというと真面目(変なところに真面目で変なところでアバウト)
几帳面(とは言われるが私自身そういう意識はない)
責任感が強い(何か任されたら結果はともかくやるだけのことはやる)
思いこみが激しい(その通り)
自分に厳しく他人に甘い(その逆)
完璧主義者(あまり意識したことはない)
(口べた)
(上がり症)
(やや短気)
(神経質)
(人見知りをする)
(後悔することが多い)
(せっかち)

主治医からは、「反応性抑うつ状態」と診断されています。また、物事に過敏に反応し過ぎている状態であるという話もありました。
メイラックスからデプロメールに処方が変わってから、以前ほどの落ち込みは少なくなっているような気がしますが、自分自身で、あまり他人のことに関わらないようにしているために要らぬトラブルに巻き込まれることが無くなったためでもあるようにも思えます。

最近、上司が私のいないところで(たまたま近くにいて耳にしてしまったのですが)あいつは病院だ薬だと甘えている」と言っていました。甘えている、という点は確かにそうかもしれませんが、こういうのを聞いてしまうとまわりの人たちが全部そう思っているのでは?と被害妄想になってしまいます。


林: あなたはうつ病だと思います。

主治医からは、「反応性抑うつ状態」と診断されています。

それは誤診でしょう。うつ病です。メールに書かれている経過と症状から、それは明らかです (うつ病の症状の中、これだけ詳しく書かれるのは大変だったと思います。ご報告に感謝いたします)。抗うつ薬による治療が必要です。

しかしながら当初は抗うつ薬が処方されておらず、

現在、メイラックスからデプロメールに処方が変わっています

とのことですが、その「現在」がいつを指すのか、またデプロメールの量が不明ですが、メイラックスから変更になったという記載から、2錠(計50ミリグラム)と推定しますと、今後はこれを増量することが適切な治療方針といえます。あなたはうつ病です。うつ病は適切に治療をすれば治ります。

その後の経過(2007.8.5.)


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る