精神科Q&A

 【1178】精神的なストレスから治療を受けることになった高1の息子に薬をやめさせたい


Q:  私の息子(高1)は3ヶ月前から軽いうつという診断で、現在まで、パキシル10mgとリスパダール2mgを毎晩飲んでいます。 
今回の相談は、私や周りが思うに、彼の症状はうつというよりは思春期によくある精神的な不安などがとても強いというだけだと思うのです。 
だからこのままずっと薬を飲み続けることに抵抗があります。 
医者に言っても、逆に不安が強いなら増やす方向へもっていきそうなので、どうしたのもか、薬を減らし、精神的に考え方を変えていく方向へ導きたいと考えているのです。 

そもそもなぜ通院しはじめたかというと、通院の少し前に、学校で物がなくなったときに犯人の濡れ衣を着せられたことと、通学途中で不良に言いがかりをつけられたことがかなりの恐怖体験だったことがきっかけでした。 

このように同時期に色々なことが重なり、精神的にイライラと不安で死にたいと考えるようになりました。登校もできなくなり、薬で不安を取りたいと願い、精神科へ行きました。 
ただ、薬の怖さというか長期間のみ続けなければいけないこと、また勝手にやめることの怖さなどは先生から言われるはずもなくネットでいろいろ調べていて初めてその継続性に怖くなりました。 

通院開始して1ヶ月半ほどたつと、なんとか登校できるようになりました。 
ただ、やはり不安な感じがとれないらしく、薬があっていないのではと思うこともしばしばあります。最初のひどい状況からよくなってきたのはやはり薬のおかげでというかかなり眠くなり家で寝ていたというのもあるのでしょうが、そろそろ薬を止めていきたいと思いますが、よくないでしょうか? 

やはりまだ若いということで、薬を続けるのに抵抗があります。 
リスパダールは最初の一週間は1mgだったのですが、その後2mgに増えました。 
ただ、薬を飲むと30分くらいで身体が重くなり眠くてたまらないだるさに襲われるようです。 
もちろん先生にはこのことは伝えてあるのですが、不安が消えないと薬を増やすほうへ話が進むので、最近ではそれが心配です。 

このような私の考えはよくないのでしょうか? 
転院して他のところへとも考えましたが、うつの治療でよいのかも疑問なのです。 
かなり長い文章になってしまい、申し訳ありません。正確にお伝えしたく、このようになりました。 
ぜひ、ご意見いただけないでしょうか? 
どうかよろしくお願いいたします。


林: 
そろそろ薬を止めていきたいと思いますが、よくないでしょうか?

その判断をするためには、息子さんの診断名が何であるかが最大の問題です。
残念ながらこのメールの記載からは、それがわかりません。
しかし、処方されている薬がリスパダールという抗精神病薬であるところをみると、主治医の先生は統合失調症であると考えておられるのだと思います。お書きになっているような「軽いうつ」というだけで、この薬を処方することはまずありません。統合失調症の可能性があるとすると、薬を中止することには賛成できません。

私や周りが思うに、彼の症状はうつというよりは思春期によくある精神的な不安などがとても強いというだけだと思うのです。 

あなたがそう判断する根拠は何でしょうか。ご両親の多くは、あなたのように、自分の子供が精神的な病気であるはずがないと、少なくとも最初は思うものです。その判断が誤っていた場合の帰結は、【0440】や、それから 統合失調症 患者・家族を支えた実例集 の73ページからの第五章「治療しなかった場合」をご参照ください。

だからこのままずっと薬を飲み続けることに抵抗があります。 

息子さんは15歳か16歳と思われますので、この年齢から薬を飲み続けることに抵抗があるのは当然です。しかし、薬の功罪は、飲んだ場合の副作用と、飲まなかった場合の帰結の両方から判断しなければなりません。【0496】などをご参照ください。

医者に言っても、逆に不安が強いなら増やす方向へもっていきそうなので、どうしたのもか、薬を減らし、精神的に考え方を変えていく方向へ導きたいと考えているのです。 

繰り返しますが、そのお考えが適切か否かは、診断名によります。

そもそもなぜ通院しはじめたかというと、通院の少し前に、学校で物がなくなったときに犯人の濡れ衣を着せられたことと、通学途中で不良に言いがかりをつけられたことがかなりの恐怖体験だったことがきっかけでした。 

統合失調症の発症時には、このような体験が語られることはしばしばありますが、その体験のかなりの部分は実は被害妄想であったということもしばしばあります。
そしてこのことが、ご家族が判断を誤る大きな原因になることがしばしばあります。つまり、そういうトラウマ的な体験が原因だから、薬に頼るべきではないとご家族は判断しがちなのですが、そもそもその出発点が誤っている可能性があるということです。(さらに言えば、【1178】のタイトルである「精神的なストレスから治療を受けることになった」に、誤認が含まれている可能性があるということです)

転院して他のところへとも考えましたが、うつの治療でよいのかも疑問なのです。

この文章は、前段と後段の関係がはっきりせず意味不明ですが、今の医師がうつだと判断して治療しているのかどうか、まずそれを確認されることが必要だと思います。


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