精神科Q&A

 【1107】18年前に自殺した母の症状


Q: 30代の男です。偶然こちらのサイトを見つけ、精神科Q&Aを大変興味深く読ませていただきました。

その中で18年前の母の症状に良く似た症状の投稿をいくつか発見し、愕然とすると同時に深い後悔の念にかられました。

当時、母は大手企業の工場でパート勤務をしていましたが、ある時期から何かに怯えるような言動をするようになりました。母の話すところによると、会社の重大な秘密を漏れ聞いてしまい、それを聞いてしまった事が会社側に発覚してしまったので口封じの為に殺される・・というものでした。今でもその真偽は私には聞かされていませんが、現実にそんな事があったとは思えません。当時高校生だった私も兄も父も当初は全く相手にしていませんでした。ところがこの妄想とも思える症状が日に日に激しくなり、恐怖心から外出も出来なくなりました。会社も退職しました。

見かねた父が何らかの手(詳しくは分かりませんが安定剤など飲ませたと程度だと思われます)を打ったようで、しばらくして少し落ち着くようになり別の会社でパートを始めるようになりました。

結果から言うとこの時に適切で十分な治療を受けていなかったようで、すぐに母の被害妄想的な症状は再発しました。症状は前よりさらに悪化し、恐怖のあまり泣きじゃくったり家族である私にまで疑いの目を向けて怒り散らしたりされました。その時の表情は、母が息子に向ける目とはとても思えないほどの憎悪に満ちた目で、今でも忘れられません。

それから数日後、父が夜勤に出て私と兄と母の三人だけの夜がきました。母は1階で一人で就寝し、兄も就寝しましたが私は試験勉強の為に夜中3時ごろまで2階の部屋で勉強をしていました。その時、外にある物置で一瞬ゴトゴトと物音がしました。私は2階の窓から物置の方を覗き込みましたがノラ猫がいたのかな?と思っただけであまり気にも留めず疲れて床に入りました。 

翌朝、物置には首をつった母がいました。

すぐに救急車を呼びましたが完全に手遅れでした。
あの晩、物音がした数秒後に息をひきとっていたようです。
当時の私には母が何故こんな言動をするのか全く理解できませんでした。兄や父もそうだったかもしれません。少なくとも私には精神の病に関する知識など全く無く、このサイトを見て今はじめて知るようなことが多かったです。
他の方の精神科Q&Aの投稿と先生の回答を読む限り、母は統合失調症だったのだと思います。

母の様子がおかしくなりはじめてから自殺に至るまでわずか2ケ月足らず・・・「統合失調症(精神分裂病)は自殺率も高い病気で、特に発病初期には頻度が高い」という先生が統合失調症について書いていた回答通りの結果です・・
発症してすぐに適切な治療をし、根気良く治療を継続しなければならないと言うことが今になって分かりました・・知識不足のせいもありましたが、当時の私たち家族は、母を何としてでも治してあげなくては!という結束が足りなかった事を18年間反省しています。この気持ちは一生続くでしょう。

最悪の事態を防ぐには家族が結束して治療にあたることが一番大切です。このメールを読んだ方に少しでも参考になればと思い投稿いたしました。 


林: ご投稿に感謝いたします。あなたのおっしゃるとおり、お母様は統合失調症であったのだと思います。そして治療を開始しないままに自殺。【0632】などに似たケースといえます。

最悪の事態を防ぐには家族が結束して治療にあたることが一番大切です。

あなたのおっしゃるとおりです。ご体験をこのように掲載させていただくことで、とても多くの方々にとって、はかり知れないほど貴重な参考になると思います。ありがとうございました。


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