精神科Q&A

 【1103】50歳になったころからの被害妄想


Q: 私の母(51歳)は、現在はひとり暮らしで昼間は小さい会社へ勤めています。去年実家をリフォームした頃から、日中母が仕事でいない間、家の鍵は業者さんが持っていて工事をしていた関係で「しまっておいた株券が無くなっている。」とか「物が無くなった。」などと言い始めて、これは実際にあった被害ですが、11月ごろ実家の車庫にとめてあった車に置き忘れた財布が窓ガラスを破られて盗まれる、といったことがありました。(これはきちんと警察へ届けました)そして今年に入り、庭側の雨どいが外されている。自分で直したらまた外された。と、何かおかしいと言うようになりました。
その頃ちょうど隣の家のご主人が亡くなられ、娘さん一人で住んでいるところに、若い男の人が出入りするようになり、その人が母のリビング脇の狭い路地に車を駐車するようになりました。すると母は「私が家に帰ってくると、必ず30分後に隣の男も帰ってくる。気持ち悪い。」「なんか後を付けられているようだ」といいます。
5月に入り、「常に誰かに監視されているような気がする。」と私の姉の家に逃げてきました。会社にも匿名でFAXがきて、その内容の一部の新聞の日付が4月2日になっていたのを(母に対して)「死に(死ね?)だ」と悪く解釈していました。その他にも会社で昼休みに、きちんと戸締りをしたはずなのに帰ってきたら窓が10センチ開いていて、自分のパソコンも誰かに見られたようだ」「自宅にあった電話帳がなくなっている」「入れた覚えの無い写真が、家計簿の中に挟まっていた」「個人情報が盗まれている」と不安をあらわにし、自分一人で家に居ることが出来ない状態です。

この1ヶ月ずっと私と姉の家に泊まったり、誰かが母の家に泊まってあげたりしています。母は会社へは行っていて、合間に家に戻っています。
自宅によく掛かってくるセールスや、カード更新のお知らせの電話にたいしても、「ほら、私の居場所を確認する為にしてくる、手が込んでいる。」といい、自宅の鍵も今年に入ってから2度交換し、5月末にはセコムにも入りましたが、「セコムの人も合鍵を持っているから、入るのは簡単だ。」「カーテンがおかしくなってる」「スリッパがバッテンのように置かれていた」「セコムにしてから、嫌がらせが多くなった」と疑っている始末です。
週末も、今日は家に帰る。と言っていたのに、「家に帰ったら、変な臭いがして喉が痛くなって、手足がしびれてきた!」といって逃げてきました。
翌日私が行くと何も異常はなく、「私(母)が一人の時を狙って何かをしてくるんだよ。」と。私の家にも何者かが侵入していると思っていて、ゴミ捨てに行ってる2,3分の間が危ないんだよ。といいます。

だんだんエスカレートしているような気がしますし、このホームページを読ませていただいて母の症状がよく似通っている事から、母は統合失調症なのではないかと思い、ご意見をお聞きしたいと思っています。心療内科へ行こうと誘ってみましたが本人は「そんなんじゃない」「全部本当の事だし、やられているのは私なんだから分からないんでしょう」とむきになって医者に行こうとしません。今後このままで自然に良くなるようならよいのですが・・・。私自身も、もうすぐ出産で忙しくなるので母がこの状態では心配です。姉は、「母はただ寂しいだけだから一緒に住んで欲しいだけなんじゃないかな。」といいます。 適切なご意見をどうか宜しくお願いします。


林: あなたのご指摘のとおり、お母様は統合失調症(精神分裂病)だと思います。50歳前後での発症は典型的ではありませんが、だからといって例外といえるほど少なくはありません。女性では男性より高齢の発症が多い傾向もあります。

姉は、「母はただ寂しいだけだから一緒に住んで欲しいだけなんじゃないかな。」といいます。

これは全く根拠のない意見です。お姉さまに、統合失調症のことをあなたからぜひ教えてあげてください。そしてお二人で協力して、お母様に精神科を受診させてあげてください。


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