精神科Q&A

【1057】10歳の娘の夜の異常行動


Q: 10歳の次女が、眠ってから約1時間後に起き上がり、窓際にあるベッドから降りました。腰高の窓を開け、そこに足をかけたところで長女が気づき、止めることができたのですが、寝室は2階のため、もし誰も気づかなかったらと思うとぞっとします。以前から、時々起き上がって部屋を出て行くようなこともあり、気にはなっていたのですが、ねぼけやすいのかと思っていました。また、今回のようなことがあったら…と思うと心配でたまりません。これは寝ぼけなのでしょうか。それとも何かの病気でしょうか。窓と雨戸は暑くても閉めておこうと思います。階段も心配になってきました。どうしたらいいでしょう。

林: これは睡眠時遊行症(夢中遊行症ともいいます)か、レム睡眠行動障害でしょう。睡眠時遊行症というのは、寝ぼけとほぼ同じと考えていいでしょう。レム睡眠行動障害は、夢の中の行動を実演してしまうものです。正確に診断するには、終夜脳波(一晩中かけて脳波の検査をすること)を行う必要がありますが、普通は症状だけから診断をします。この【1057】のケースはどちらとは言い切れませんが、おそらく睡眠時遊行症でしょう。
 いずれにせよ、子どものこのような症状は、成長とともに自然になくなりますので、普通は治療の必要はありません。ただ、この【1057】では、ケガをする可能性がかなりありますので、何もしないというわけにはいかないでしょう。一つは、窓やドアが容易には開かないようにしておくなど、危険の要素を除いておくことです。それでも危険が避けられない場合は、薬物療法を行うべきでしょう。子どもに薬を飲ませるという心理的な抵抗を別にすれば、薬物療法を避ける理由はこの場合は特にありません。ごく少量の睡眠薬などを寝る前に飲むことで、十分な効果が期待できます。薬の副作用のリスクよりも、放置してケガをするリスクの方がずっと大きいと思います。小児科の医師に相談することをお勧めします。



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