精神科Q&A

【0977】自分の思い通りにならないと異常なほど罵倒する妻


Q私は48歳の男です。妻も同じ年です。
15年ほど前に下の子供が肺炎を起こして入院してから、それまでのとても献身的なやさしい妻が急にガラが悪くなり、私の親にも言い方一つとっても命令的でばかにしたような言い方に変わってしまいました。
それまで私の仕事が午前様がしょっちゅうでしたので、精神的に耐えられる限界に達したのかもしれませんが、声のトーンが極端に低くなり、私から違うことを指摘されたことに対して、古い話でも「否定され続けてきた」と罵倒し続けます。
それ以来、そうなったときは聞く側に徹することにしましたが、今度はそうなると勝ち誇ったように罵倒し続けるようになり、子供にも気にくわないことがあると、執拗に怒り続けるようになったため、私も限界を感じ実家の方で静養と治療を強く勧めました。
そのときは、ぐっと我慢しているような雰囲気で病気ではないと一緒に暮らしていたのですが、毎年2〜3月になると決まって別れる、子供は連れて行くの繰り返しとなりました。最近では、まとまった金もよこせ、生活費は給料の半分は出せとエスカレートしてきました。

結婚前もまったく貯金が無くあれっと思ってはいたのですが、結婚後金の管理はすべてまかせていたところ、家計はスッカラカンで親から送金を受けていたようでした。
今も自分の贅沢をするという感じではないのに、無駄に食品を買って無理に食べさせているようななんとなくダラダラとした、金銭感覚です。
あるだけ使ってしまうと言うタイプでしょうか?あるいは金銭管理の感覚が欠如しているといってもいいかもしれません。
私も将来への危険を感じて親が残してくれた財産は妻にはいっさいわからないようにしています。

最近、私の甥が国外で急死したのですが、それについても解剖して死因をなぜ突き止めなかったかと私の姉夫婦のことをドスのきいた声でわめいています。
私としては、普通で考えたら姉夫婦が急死として甥の死を受け入れることができるようになったんだから、静かにしておいてやれと思うのですが、それが気に入らないらしく、自分の子供が急死したのなら絶対に解剖に回して死因をはっきりさせる、良く覚えておけとわめきはじめてしまいました。

最初は、子供の看病も報われず入院となってしまったことへの、虚脱感からプッツリ精神的にきれたたこになってしまったのかとも思っていましたが、猫なで声でハイテンションになったり、低いドスのきいた声になって罵倒したり両極端のケースがあります。
更年期障害も関連しているのかもと思いますが、食事の献立にしても昔ほど手作りの食品でなく、インスタントや冷凍が多くなり、休日になると昼夜とメニューを決めろと私にも子供にも言い続けます。
これを食べたいと言っても、外で食べた方がいいという結論を妻が出すので最近では子供も私も近くの外食産業に通い詰めです。

昨年は私も十二指腸潰瘍となり、なかなか直らない現状でストレスの元は妻であることは、はっきりしているので今後どう対処していったらいいか迷っています。
子供は二人とも高校生になっているので、今の一緒に暮らす生活も三年ぐらいでやめてもいいかとも思っていますが、どうなんでしょうか?

先生のアドバイスがお聞きできたらと思っていますが・・・・・・・・


: 奥様の現症は人格障害を思わせるものです。ただし問題は、もともとこのような性格傾向があったのか、それともある時期を境にこのような極端な形に変化したのかということです。

15年ほど前に下の子供が肺炎を起こして入院してから、それまでのとても献身的なやさしい妻が急にガラが悪くなり、

という記載をそのまま読めば、この15年前の時点から急に変化したと判断できます。あなたの本心としてはどのようにお考えでしょう。「それまでのとても献身的なやさしい」をどう解釈するかということですが、これは本当に言葉通りなのか、あるいはそのような妻を演じていただけとお考えなのでしょうか。というのは、

結婚前もまったく貯金が無くあれっと思ってはいたのですが、

という記載があるからです。もっとも、結婚前に貯金がない人はたくさんいらっしゃいますから、これだけでは何ともいえませんが、「あれっと思ってはいた」とお書きになっているところをみると、このことが何か変だと思わせるものが他にもあったのでしょうか。また、これに続く一文、

結婚後金の管理はすべてまかせていたところ、家計はスッカラカンで親から送金を受けていたようでした。

これは結婚直後から金の管理がでたらめだったということでしょうか。それとも15年前の時点からでたらめになったということでしょうか。

以上のように、奥様はどの時点から現症のようになったかが診断上重要なポイントです。もともとそのような傾向があったのであれば、人格障害と考えるべきでしょう。しかしある時点から急にこのように変化したのであれば、脳に何らかの病変が生じたことによる器質性の原因、あるいは何らかの身体疾患による症状性と呼ばれる原因が疑われ、いずれも病院での脳をはじめとする検査が必要です。そして原因が明らかになれば、治療できる可能性が十分出てきます。



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