精神科Q&A

【0113】 13歳の息子が、一生薬を飲むよう言われました


Q: 13歳の息子が、無気力のために小児科を受診したところ、抗不安薬(デパスDepas 1mg)を処方されました。それなりに効果はあるようです。しかし、担当医に、「多分、一生、この類の薬を飲み続けることになるから覚悟して下さい」というようなことを言われています。長い目で見たとき、本当に今のような投薬治療が望ましいのでしょうか。疑問があるなら、他の小児科や心療内科を受診してみたほうが良いでしょうか?  

: 普通、抗不安薬は、小児のときから一生飲み続けるような種類の薬ではありません。もちろん一時的に飲んだほうがいいことはありますが。ですから、13歳から一生飲み続けることになるだろうという予測はちょっと理解し難いものがあります。本当にはっきりと薬を続ける必要があると言われたのか、それとも単に治療が必要であり、そのためには薬も使い続ける可能性があると言われたのか、それをまず確認する必要があると思います。 もし「デパスを一生飲み続けなければならない」と文字通り間違いなく言われたのであれば、この医師は信頼できないと断言してもいいでしょう。(メールには「この類の薬」と書かれていますので、実際には違うと思われますが)

 小児の時期から長期にわたって薬を飲む必要がある病気は、精神科の領域では統合失調症(精神分裂病)かてんかんです。小児の無気力やいわゆる引きこもりが、実は統合失調症(精神分裂病)の初期症状であるのはよくあることです。その場合、普通は抗精神病薬を処方します。抗不安薬を処方することはあまりないことです。ただし、初期の統合失調症(精神分裂病)には抗不安薬のほうがいいという意見もきわめて少数派ですが存在します。実際にある程度効くこともあるようです。息子さんの症状がそれにあたるかどうかまでは、このメールの簡潔な記載からは判断できません。いずれにせよ、疑問をお持ちなら他の先生にも診てもらって意見を聞いたほうがいいでしょう。

 小児科でも、どの科でも同じですが、医者には得意分野と不得意分野があります。精神疾患が不得意な小児科の先生も、得意な小児科の先生もいます。残念ながら今の日本では医者が得意分野を公然と宣伝することは禁止されているため、どの先生がどうなのかはなかなかわからないというのが現状です。そういう理由もあって、疑問があれば他の先生にも診てもらったほうがいいということになります。くれぐれも自己判断で薬を中止したりしないように注意してください。

 


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