精神科Q&A

【0944】うつ病で通院中の夫は境界型人格障害ではないでしょうか。


Q私は30代の専業主婦で2歳の子供がおります。
結婚4年目になる夫は39歳で、単身赴任中だった昨年、うつ病と診断されました。
当時本人からは、うつ病になったのは私と結婚するずっと前からで、慢性化しているので治るまでには時間がかかると言われた、と聞きました。
そこで、私も色々と調べた結果、うつ病というより人格障害では?という思いが強くなりました。

夫はいつも自分の話ばかりをして人の話をあまり聞かないところがありました。
私が話を始めるとまだ途中なのに「○○と言えば、今日俺の友達が・・・」と自分の話に持って行くのです。そして自分が喋りたいだけ喋ったら寝てしまいます。

また、話題に上がる相手は上司だろうと同僚だろうと必ずと言っていいほど「こいつは仕事が出来ない」など見下した言い方や悪口ばかり。
(本人曰く悪口ではない事実を言って何が悪い)
店員や他人に対してもとても横柄で、ちょっとでも対応が悪いとすぐにクレームを入れるのですが、その言い方も
「自分はこういう仕事をしているプロだから分かるから言っているんだ」
「もしこれが企業同士だったら大問題だ」など
どうも本題からずれているような話になっているのですが本人は分かっていません。

自慢話も多く、聞いているこちらが恥ずかしくなる程です。
ちょっと自分が掃除をしたり料理をしたりしようものならいつまでもいつまでも、「あ−疲れた、おいしく出来て良かった、かくし味を入れたのが正解だった、おいしい?どう?こんな旦那さん、料理してくれる旦那さん嬉しい?」と同じ事を延々と言い続け、「賞賛」を要求します。

また、夫婦として色々な事を話し合いお互いの気持ちを考え合うという事が出来ない人だと、常に感じていました。
何か批判されるとすぐに自分を正当化する為に、つじつまの合わない事や自分を棚に上げるような事でも平気で並べ、ああ言えばこう言う屁理屈で、あげくの果てに「おまえのその言い方が気に食わない、言い直せ」などと本題とは違う内容で私の方を責めて、一向に自分の否を認めようとはしません。

今年から単身赴任が終わりこちらへ帰って来たのですが、最近では、エスカレートし私がちょっと注意した事に対しても、例えば「子供にそんな風にいきなり怒鳴らないで、説明してあげてよ」などと言うだけでカッとして部屋を出て行ってしまい、それに対して私が腹を立てると今度は「そんな事でいつまで怒ってんだ!俺の家だ嫌なら出て行け、実家に迎えに来いって電話してやる!弁護士でもなんでも呼べ、俺には弁護士の知り合いが居る連絡してやる!」などと子供の前でもお構いなしで大声で怒鳴り散らし、私の首を絞めようとしたり、椅子を投げたりテーブルを蹴ったり、暴れるようになりました。

ですが、次の日かその次の日くらいには何事も無かったかのようにケロリとしていて、こちらが戸惑うくらいです。
そして私が嫌がっても、機嫌を伺うようにベタベタしてきたりします。

また、浪費グセがあり(結婚前にも多額の借金がありました)、会社を休む事が多く収入が減り、ただでさえ赤字なのにも関らず私と息子が出掛けると、その隙にパチンコへ行って大負けしたり毎日の様にネットで何かを購入しています。
以前の喧嘩の際に、通帳を渡せ!と持っていってしまったので自分のこづかいの範囲ではなく生活費を使用していると思うのですがまたもめるのが嫌で、言えずにいます。

4月から通っている病院では「一生治らない」と言われたそうで、私はうつ病は治るもの、と認識していたので、うつ病ではないのでは?と思い、先日、私だけで(息子を連れて)話を聞きに行きました。
主治医によると
「彼は自意識過剰で自分はとても優れていると思っているけど、残念ながら周りにはまだそれを認めてくれる人が居ない、そこでのジレンマからこういう症状になるのでしょう。いわゆる不適応です。感情の波は小さくなるが完全に治るのは難しい。人生には躁とうつの波があるから、そういう意味で今はうつ状態で、やはりうつ病でしょう。治る治らないに固執する必要はないでしょう。」との事でした。

そこで最近の症状を話すと
「口論は大いに結構、でもDVは困るね、、、そうなると入院が必要になるので、なるべく外に出て日光に当たるように。」との事でした。

夫は4人兄弟の長男で、生後2週間から小学生まで保育園に預けられて育ちました。
一昨年、主人の父が突然ガンで亡くなったのも発病のきっかけだったような気もします。
両親は厳しかったと言っていますが、主人の母は実家で飼っている小型犬に対してとにかく名前を怒鳴って叩いてばかりいたので子供にもこうだったのだろうと憶測できました。
実際、主人もスーパーで泣いているよその子供に「あんなの叩いて黙らせるればいいんだ」と言っていて驚いた事があります。
その反面、過保護なところもあり、義母は
「息子はやりたくもない仕事をやらされて本当に苦労している、営業なんてどんなに大変か、私も仕事をしてるからよくわかる、本当に可愛そう」と周りの人に言い回っています。

今、一番気になっているのが主人の子供への態度です。
子供には心に傷を持った大人になって欲しくないと願っています。
私は常に意識しながら子供に接しているのですが、夫は、いきなり脅す様に怒鳴りつけたり、叩いたり、見捨てるような言葉を利用したり、けなすような事を言ったり、すぐに他の子供と比べたり…
きっと自分が幼い頃にそうされていたであろう事ばかりするので、それが嫌でたまりません。

子供にはそういう事を言わない様、しない様に、両親が同じ気持ちで子育てをしたいと思い、話をした事もありましたが、上記のとおり、自分のしていることが間違っていると認めないうえ「自分は仕事をしながら、こんなに辛い病気の治療を1人でしている、お前は子供が全てかもしれないが、自分にはそんな余裕は無い」と全く話し合いにはなりませんでした。

欠勤や遅刻も頻繁にあるのでこの頃は会社でもいずらくなってきている様です。
自分は病気なのに、会社は分かってくれないと周りばかり責めています。

夫は境界型人格障害とは違うのでしょうか?
カウンセリングや、睡眠療法というのでしょうか?
幼児期に受けた心の傷を癒すような方法をとった方がいいのではないかとも思うのですがどうなのでしょうか。
私自身も、子供が生まれ育児について色々調べる中で、自分が親から受けた傷に気付き、自覚し、自分を知る事が出来たと思う事があります。

最終的には主治医に相談、という事になるのでしょうが、その相談のきっかけに、お話をお聞かせ頂けたら思いメールを致しました。



私も色々と調べた結果、うつ病というより人格障害では?という思いが強くなりました。

あなたのこの見解は正しいように思います。
ご主人は、うつ病ではないでしょう。あなたのご指摘のように、人格障害の範疇には入ると思います。

夫は境界型人格障害とは違うのでしょうか?


境界型人格障害かどうかはこのメールからは判断できません。自己愛型人格障害か境界型人格障害のどちらかのようには見えます。

主治医の先生は
うつ病
とおっしゃったとのことですが、

「彼は自意識過剰で自分はとても優れていると思っているけど、残念ながら周りにはまだそれを認めてくれる人が居ない、そこでのジレンマからこういう症状になるのでしょう。いわゆる不適応です。感情の波は小さくなるが完全に治るのは難しい。人生には躁とうつの波があるから、そういう意味で今はうつ状態で、やはりうつ病でしょう。治る治らないに固執する必要はないでしょう。」

この言い方からすると、非常に広い意味ではうつ病に含まれるものの、通常うつ病と呼ばれるものとは違うという意味でおっしゃっているのは明らかです。
この先生の使っておられる言葉の「不適応」、あるいは「適応障害」のように言ったほうが、当を得ているかもしれません。

治る治らないに固執する必要はないでしょう

この言葉は、もっとはっきり言えば、きれいに治ることはない、ということにほぼ等しいです。もっとも、信頼できる先生をみつけて、長期に渡って治療(精神療法)を受けることができれば、ある程度の改善は期待できます。かなり難しいのは事実と思いますが。

幼児期に受けた心の傷を癒すような方法をとった方がいいのではないかとも思うのですがどうなのでしょうか。

理屈としてはあなたのおっしゃることは正しいかもしれません。事実、心の傷をとる、そういう方法が望ましいと考えられていた時代もあり、今でもそれを主張する医師も存在しますが、現実にはなかなかうまくいかないでしょう。

ご主人の人格は、ひとことで言えば、自己愛が肥大しているということになるでしょう。このような人格が形成された背景としては、

過保護なところもあり、義母は
「息子はやりたくもない仕事をやらされて本当に苦労している、営業なんてどんなに大変か、私も仕事をしてるからよくわかる、本当に可愛そう」と周りの人に言い回っています。


このような言葉から、過保護であったと推測することは出来、このような母親の養育方法が大きく関与していると推測することも出来ます。ただし、過保護であったということも、仮にそうであったとして、それが人格形成に大きく関与したということも、あくまでも推測にすぎません。原因を追及してもあまり意味はないでしょう。

最終的には主治医に相談、という事になるのでしょうが、

その通りです。現実的な対応方法を相談していかれるのが最善だと思います。





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