精神科Q&A

【0942】妻と隣人のトラブル


Q私は47歳男性です。47歳妻のことで相談させていただきます。私、妻、二人の女児の4人暮らしです。

半年ほど前から隣家の夫婦(お二人ともご高齢)と妻との間での出来事により妻がノイローゼになっております。
隣家では夫人がタバコの煙を嫌うため、主人は自宅庭、庭前面道路(我が家の前面部分道路を含みます。)で喫煙を行っています。
また、音にはとかく敏感であるらしく、妻の話によればエアコンをかけただけで室外機の音に反応し、「今日はそんなに暑いか。」等の会話が漏れ聞こえるそうです。
妻は趣味の関係で小型のコンプレッサを有しておりますが、日中に稼動すると「またやってるわ」と言われているようです。

そんなことで、妻は臭いにすごく敏感となり、日中に隣家主人が歩きタバコを始めると家中の扉という扉を早速に閉め、その部屋の中で罵声をあげている始末です。
夜間においても同様に、タバコ臭を感じると歩きタバコによるものと一人断定し、同様の対応をしています。
それがいつからか、妻がうるさくするから嫌がらせに歩きタバコをして煙を吹き込んでくるとか、夜遅くに妻が入浴中に歩きタバコするとか、寝る前にトイレに入っていると道路から音を窺っているとか、最近では我が家の周囲(前面道路2面、境界1面)に尿を撒き散らして悪臭を放つ嫌がらせへと発展しだしたと言い出しています。

ところが、妻が夜間のタバコ臭を感じた瞬間や、尿臭を感じた瞬間に私が屋外を確認しても、また妻の入浴中は二階から浴室付近の道路を私が監視してやっていても、妻は「見えていない死角でやっている。」「あなたが出て行く音に気づいてとっさに自宅に入る。」と言い張るしだいです。しかし、どう考えても私が出て行こうという瞬間に自宅に戻り始めても必ず私に確認できるはずでると私は確信しています。

我が家からの騒音についても、私が直接に隣家主人に問いただしたところ、我が家ではなく別の隣家からの騒音に対する苦情であると、説明を受けました。
その話を妻に説明しても、時既に遅く私の話など信用してくれません。

最近の妻の口癖になりつつあるのは、「じじいのタバコ、おしっこの連続攻撃が始まった」で、そう言いながら、家中に芳香剤、同スプレーを撒き散らしております。

私も子供たちに夏休み中など日中の様子や、隣家主人の行動、言動について確認しましたが、ごく普通の歩きタバコ以上の事実は確認できていません。
もちろん、私や子供が臭いに鈍感である可能は否めませんが、妻の言うことは全てが状況証拠のみであり、事実は何一つとして確認が出来ない状況です。
しかし、それだけで妻を異常者扱いすることも出来ず困っています。妻は特に夜になると臭いに怯え泣いて暮らす日々です。

本日、先生のサイトを拝見して近くの精神科に受診いたしましたが、当面精神安定、睡眠促進の薬を投与されたところです。
特に診断は話されませんでしたが、サイトを拝見させていただいたところ、統合失調症(精神分裂病)にあたるのかと思っています。
診断はどうあれ、家族として今後どのようなフォローをするべきかお教えいただきたくお便りいたしました。
妻のいる前で、診察いただいた先生にお尋ねすることも出来ませんでしたのでお尋ねいたしました。よろしくお願いいたします。


: あなたのご判断のとおり、奥様は統合失調症(精神分裂病)に間違いないでしょう。このメールに書かれている奥様の言動は、どれも統合失調症に典型的な被害妄想あるいは幻聴です。たとえば、

音にはとかく敏感であるらしく、妻の話によればエアコンをかけただけで室外機の音に反応し、「今日はそんなに暑いか。」等の会話が漏れ聞こえるそうです。

このように、自分の行動にタイミングよくぴったり反応する形で、自分を非難・攻撃する内容の幻聴が聞こえるという症状は、非常によくある症状です。

それがいつからか、妻がうるさくするから嫌がらせに歩きタバコをして煙を吹き込んでくるとか、夜遅くに妻が入浴中に歩きタバコするとか、寝る前にトイレに入っていると道路から音を窺っているとか、最近では我が家の周囲(前面道路2面、境界1面)に尿を撒き散らして悪臭を放つ嫌がらせへと発展しだしたと言い出しています。

これらもかなり典型的な被害妄想です。もっとも、上記の訴えの中のどれも絶対にあり得ないとまでは言い切れませんが、妄想とはしばしばそういうものです。

「あなたが出て行く音に気づいてとっさに自宅に入る。」と言い張るしだいです。しかし、どう考えても私が出て行こうという瞬間に自宅に戻り始めても必ず私に確認できるはずでると私は確信しています。

あなたの確信は正しいと思います。

それだけで妻を異常者扱いすることも出来ず困っています。

「異常者扱い」という言葉のニュアンスはともかく、奥様が統合失調症(精神分裂病)であることはほぼ間違いありませんから、治療を開始するのが当然ながら最善です。ですから、

本日、先生のサイトを拝見して近くの精神科に受診いたしましたが、当面精神安定、睡眠促進の薬を投与されたところです。

このようにとにかく治療が開始されてよかったと思います。
もっとも、

妻のいる前で、診察いただいた先生にお尋ねすることも出来ませんでしたのでお尋ねいたしました。

このように書かれているのが気になるところではあります。お尋ねできなかったのはともかくとして、奥様の状態は正確に先生にお伝えされているのでしょうか。処方された薬の内容が不明ですが、幻聴や被害妄想についての情報が正確に伝えられていないと、抗不安薬のみが処方されるということもあり得ます。その場合はこの症状は治りません。この点をご確認のうえ、治療を継続してください。


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