精神科Q&A

【0933】物を飲み込みにくいという副作用


Q: 19歳の息子です。統合失調症の薬を服用して二年ほどになります。1ヶ月ほど前より、舌が固くなって、飲み込みにくいと言うようになりました。最初は夕方だけだったのですが、だんだんと症状も強くなり、飲み込める時間も減ってきました。

コントミンの副作用ということで、二週間前からコントミンを止めて、リスパダール(朝夕)、セルシンとジプレキサ(夕)を継続服用しています。アキネトンの量が増えましたが、なかなか治らず、コントミン以外の薬でも副作用としてこのような症状が出るのか、心配になりました。またネットで調べたところ、アキネトンにも副作用として嚥下困難が載っていました。アキネトンも増量してもらっています。

毎日ごはんが食べられず、とても困っています。他に方法がなければ気長にマッサージやハリなどはどうかと考えています。(マッサージや足裏のシアツも本人は全く効果がないというのですが)

ずっと同じ先生にかかっており、信頼関係もできているのですが、このたびは林先生のご意見をいただきたく思いメールさせていただきました。


: 統合失調症の薬である抗精神病薬には、どの薬にも錐体外路症状の副作用があります。薬によってその強さは様々ですが、この副作用がゼロという抗精神病薬は今のところ存在しません。
そして錐体外路症状の中のジスキネジアが嚥下障害(物を飲み込みにくい)という形で現れることがあります。ですからこの【0933】のケースで、

コントミンの副作用ということで、

として薬の変更が試みられたのは自然な対応です。
そして抗精神病薬の中では、非定型と呼ばれるリスパダールやジプレキサは、比較的錐体外路症状は少ないので、これらの薬に変更されたのも自然です。しかし、それでも、先に申し上げましたとおり、錐体外路症状はゼロというわけにはいきません。ですから、

コントミン以外の薬でも副作用としてこのような症状が出るのか

このご質問に対する答えはイエスで、どの抗精神病薬を用いても、このような「飲み込みにくい」という症状が出る可能性はあります。

ただしあくまでも可能性であって、普通はそう多くない量であれば、強い嚥下障害は出ません。しかし、出やすい人もいらっしゃいますし、人によって出やすい薬というものもあるようです。つまり一般的にいう「薬が合う、合わない」ということがあります。しかし統合失調症では簡単に服薬を中止することは良い結果を招きませんので、ので、この【0933】では、根気良く処方を変更し、「合う薬」を見つけるのが第一だと思います。


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