精神科Q&A

【0928】広汎性発達障害の娘の攻撃性


Q: 14歳の娘は、小学校高学年のときに「広汎性発達障害」の診断を受けておりますが、最近他者への攻撃性が出てきました。
 先日は外に飛び出し子どもの顔を引っかいてしまったり、バスの中で突然前に座っている人の髪の毛を引っ張ってしまいました。また、学校では友達の手をひっかいたり、たたいたり、家では私に物(生卵などそこらにある物)を投げたり、たたいたり、ひっかいたりしてきます。これらは突然するので、何をしていても安心できません。まるでエクソシストの映画で、悪魔がついたように汚い言葉になります。

口癖は「今いらついている」「相手してよ」「頭の中がごちゃごちゃして何をしてよいかわからない」「小さいころ楽しかったことがどうして今は楽しくないの?」などです。

先日、落ち着いているとき、自分の胸の所に手を当てて「私のここのところがごちゃごちゃになって何をしていいかわからなくなって、そうすると手が勝手に動いてお母さんをたたいちゃうの。ごめんね。どうしたら止められるの?」としきりに言っていました。

この攻撃性が障害から来るものなのか、でも、自閉症の人の全てがこんなに攻撃性を持つわけではないと思うし、何かが違うように思われます。精神病なのでしょうか。
 遺伝的にはいとこがアスペルガーっぽく、自殺未遂などもし、精神病院に入院していました。

お医者様からはリスパダールを処方されていますが、飲んでも飲まなくてもいらつきの程度はさほど変わらない様に見えることと、やる気がなくなり学校でボーっとしてしまうこと、薬の副作用でよだれをたらすようになってしまった人の話を聞いて、怖くて現在は飲ませていません。いらつきの程度があまり変わらない、攻撃性が改善されないとなると、お医者様に相談してほかの薬に変更し、とにかく服薬はした方がよいのでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、どうかご意見をお聞かせいただきますようお願いいたします。


: 広汎性発達障害では、了解が困難な攻撃性が出ることがときとしてあります。

この攻撃性が障害から来るものなのか、でも、自閉症の人の全てがこんなに攻撃性を持つわけではないと思うし、何かが違うように思われます。精神病なのでしょうか。

あなたがこうおっしゃっているとおり、自閉症の人(あるいは広汎性発達障害の人)の全てが攻撃性を持つわけではありません。しかし、中にはそういう人もいらっしゃるということです。そして、この【0928】の方の攻撃性は、広汎性発達障害に関連するものとして特に矛盾はありません。ですから、

何かが違うように思われます。精神病なのでしょうか。

そうではないと思います。
対応としては、理想としてはよく話しを聞き、適切な接し方を・・・ということになるのは当然ですが、なかなか理想とおりの方法ではうまくいかないものです。
この方のように現に攻撃性がしばしば見られる場合は、現実的にそれを抑える方法を考慮すべきでしょう。広汎性発達障害の方の攻撃性は、予想もつかない形であらわれることもありますので、理想論を唱え続けるのは危険だと思います。
そして、具体的な対策は薬ということになります。

お医者様からはリスパダールを処方されていますが、飲んでも飲まなくてもいらつきの程度はさほど変わらない様に見えることと、やる気がなくなり学校でボーっとしてしまうこと、薬の副作用でよだれをたらすようになってしまった人の話を聞いて、怖くて現在は飲ませていません。

いらつきの程度はさほど変わらないとのことですが、攻撃性の程度はどうだったのでしょうか。いらつきはもちろん攻撃性に結びつくものですが、いらつきから実際の攻撃行動の間には開きがありますので、いらつきは変わらないようにみえても、攻撃性は減るということはあり得るものです。
 また、
薬の副作用でよだれをたらすようになってしまった人の話を聞いて、怖くて現在は飲ませていません。
このように人から聞いた副作用の話に基づいて服薬をやめるというのは最悪の対処法です。どんな薬にも副作用は起こりうるもので、あらゆる副作用を心配していてはいかなる薬も怖くて飲ませられないということになってしまいます。

いらつきの程度があまり変わらない、攻撃性が改善されないとなると、お医者様に相談してほかの薬に変更し、とにかく服薬はした方がよいのでしょうか。

攻撃性が改善されているかいないかは上記のように検討の余地があります。また、服薬された期間が不明ですので、本当にいまの薬でいらつきの程度が変わらないかどうかは判断できませんが(つまり、服薬が短期間すぎて効果がまだ出ていないだけかもしれません)、いずれにせよ先生との相談は必要です。そして、服薬は続けるべきだと思います。





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