精神科Q&A

【0882】カウンセリングに行くとぐったりして帰って来るうつ病の夫


Q: 36歳会社員の、うつ病の主人のことでご相談します。
 主人は2年前に、仕事上の大きなストレスが契機となり、うつ病の症状が出始めました。
(ただし、その前からかなりのストレスを抱えており、不眠を訴えることはよくありました)
知人に勧められたクリニックを受診、うつ病と診断され、しばらく薬とカウンセリングによる治療が続きましたが、そのころある資格試験を受けることをカウンセラーの先生に反対されたのをきっかけに、カウンセリングをやめてしまいました。結局、その資格試験には不合格、そのショックからさらに落ち込みがはげしくなってしまいました。
 そのクリニックに通うのは片道2時間半かかり、それからさらに1時間以上待つことが多く(カウンセリングは予約制なので待ちませんが)、負担が大きかったので1年ほど前から自宅近くのクリニックに転院、薬による治療も続けました。
 しかし、症状は一向に改善せず、主人はまた前のクリニックに戻ってまた、カウンセリングを受けたいと言い出しました。
一度言い出したら聞かない人なので、主人の気持ちを尊重し、8ヶ月ほど前から以前のクリニックに戻り、薬とカウンセリングによる治療を続けています。
 しかし、主人の病状は以前より悪化しているように思われます。薬の量も増えているのですが、あまり変わっていないように思います。
最近は、出勤しても、1時間ももたず、帰ってきてしまいます。(職場の上司は、理解のある方で、認めてくださっています。)その後は布団の中で寝ていることが多いのですが、最近は夕方スポーツジムに通うときも出てきました。家にいるときはうつろな目をして、頭をかかえているか、布団の中にいるものの、あまり眠れずにどうしたらいいかわからない、という様子です。
子どもがいませんので、二人きりで気まずい雰囲気の時も多くなっています。
でも、長期間休むのは嫌なようで、カウンセラーの先生に休みをとるように強く勧められたときには、帰宅後かなり混乱し、大きな声を出し、自分の手の甲を強く噛む、などしていました。
2日くらいたって、少し落ち着いてきて休むことを受け入れたように見えましたが、医師との診察の結果、結局まだ休まないことになりました。
そのときは私は同行しなかったので、詳しい経緯はわかりませんが、以前2回ほど休職したときに、2回とも2週間でまったくよくならないうちに復職してしまったことや、本人の「休みたくない」という気持ちを先生が考慮したのか、と思っています。先生は「どうにもならなくなったら、3ヶ月くらい休んだらどうか」とおっしゃったそうです。
今の症状としては、不眠(眠剤を飲んでも熟睡感がまったくない)、やる気がでない、漠然とした不安感、あせり、いらいら感、どうしたらいいかわからない、生きていることがむなしい、などです。
1ヶ月に1度ほど、大きな声を出したり、物にあたったり、自分の手の甲を噛む、などの混乱がみられます。

 長くなってしまいましたが、相談したいのはクリニックを変えるべきかどうか、ということです。
今通っているクリニックはよいクリニックだと思いますが、月に2回のカウンセリングは、主人にとって本当によいのか悩んでいます。行き帰りがかなり負担になっているようで、かえってくるとぐったりしています。また、毎回,カウンセリングでいろいろなことを考えるのがつらい、とも言い出しています。
最近は「行きたくない」ということもしばしばです。
主人の上司からは、近い病院に変えたほうがいいのではないかと、職場に近いクリニックを紹介してもらいました。ただ、そこではカウンセリングはやっていないようで、カウンセリングは実費で、近くのカウンセリングセンターにいくことになるとのことです。
ただ、主人はまた一からやりなおすのがいやなようです。
私としては、毎回、ぐったりしてカウンセリングから帰ってくる主人をみると、近くの方がいいのではないかとも思うのですが、人間関係を形成するのが苦手な主人がまた新しい先生を信頼していけるのか、という不安もあります。

今服用している薬は(1日)
 アモキサン 25mg x 3
 ルジオミール 10mg x 3
 ソラナックス 0.4 mg x 3
 レスリン 25 mg x 3
 ドグマチール 50 mg x 1
 ネルボン 5mg x 2
 
です。
よろしくお願いいたします。




今の症状としては、不眠(眠剤を飲んでも熟睡感がまったくない)、やる気がでない、漠然とした不安感、あせり、いらいら感、どうしたらいいかわからない、生きていることがむなしい、などです。
1ヶ月に1度ほど、大きな声を出したり、物にあたったり、自分の手の甲を噛む、などの混乱がみられます。


以上の症状、および処方の内容から、ご主人がうつ病であると仮定してお答えします。
「うつ病であると仮定して」という理由は、今の症状と処方はうつ病として矛盾はないのですが、発症の経過などが今ひとつはっきりしませんので、うつ病とは言い切れず、仮定にとどめるという意味です。

相談したいのはクリニックを変えるべきかどうか、ということです。

とのことですが、それ以前にまずすべきことは、休養だと思います。
うつ病では必要十分な休養を取ることが回復のためにぜひとも必要なのですが、

以前2回ほど休職したときに、2回とも2週間でまったくよくならないうちに復職してしまった

こういうことは比較的よく見られます。うつ病の方には、少し良くなってくると休んでいるのが申し訳ないという気持ちが強くなり、つい不十分な回復状態で仕事への復帰を強く希望される方がよくいらっしゃいます。これを繰り返していると、かえってうつ病が長引いてしまうものです。

2日くらいたって、少し落ち着いてきて休むことを受け入れたように見えましたが、医師との診察の結果、結局まだ休まないことになりました。
そのときは私は同行しなかったので、詳しい経緯はわかりませんが、以前2回ほど休職したときに、2回とも2週間でまったくよくならないうちに復職してしまったことや、本人の「休みたくない」という気持ちを先生が考慮したのか、と思っています。


おそらくこのあなたの推測が正しいと思います。医師としては休養を強く勧めても、どうしてもご本人が納得されないと、ご本人の意志を尊重してもうしばらく仕事をしながら治療を続けることに同意せざるを得ないことがしばしばあります。そして後になってうつ病が悪化してから、やはりあの時ご本人の意志をねじ伏せてでも休養させればよかったと後悔することも少なからずあるものです。

先生は「どうにもならなくなったら、3ヶ月くらい休んだらどうか」とおっしゃったそうです。

私もこれをお勧めします。

月に2回のカウンセリングは、主人にとって本当によいのか悩んでいます。行き帰りがかなり負担になっているようで、かえってくるとぐったりしています。また、毎回,カウンセリングでいろいろなことを考えるのがつらい、とも言い出しています。

カウンセリングに関しては、行き帰りの時間もさることながら、上記の

毎回,カウンセリングでいろいろなことを考えるのがつらい、とも言い出しています。

これを重視すべきです。
というより、うつ病のカウンセリングでは、特にまだ症状がかなりある時期には、あまり深いことを聞いたり考えたりしていただかないようにするのが普通です。
(「普通です」ではなく、本当は「常識です」と言いたいところです)
今のご主人の症状からすると、このカウンセリングはかえってマイナスになっているように思えます。

主人の上司からは、近い病院に変えたほうがいいのではないかと、職場に近いクリニックを紹介してもらいました。ただ、そこではカウンセリングはやっていないようで、カウンセリングは実費で、近くのカウンセリングセンターにいくことになるとのことです。

いま申し上げたように、うつ病では深いカウンセリングは必要ないばかりか、かえってうつ病を悪化させることも多いので、カウンセリングセンターにいらっしゃる必要はないでしょう。「そこではカウンセリングはやっていない」とのことですが、それは特別なカウンセリングはやっていないという意味で、クリニックであれば通常の診療内でのカウンセリング的な治療はしていただけるはずです。うつ病ではそれで必要十分です。

以上をまとめますと、
(1) まずは休養を取るべきです。通院先を変える・変えない以前にこれが必要です。
(2) うつ病では、特に症状が一定以上ある時期には、深いカウンセリングは必要ありません。むしろうつ病を悪化させることもしばしばあります。



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