精神科Q&A

【0847】肺炎で入院した父の異常行動


Q: 66歳の父は1ヵ月前、兄弟の葬儀のため、東京の自宅から北海道の親戚宅まで一人で出かけ、数泊後疲れてはいましたが、いつもと変わり無く帰宅しました。
ところが、翌朝40℃の高熱を出しおきあがれませんでした。かかりつけの病院へ連れて行った所、肺炎、心不全という診断でそのまま入院となりました。
そこは老人専門のような病院で内科、精神科、神経科があります。両親は、持病があるので月に一度通い、薬をもらい検査もしていました。
父は糖尿病と高血圧で少し前から心臓が大きくなっていると言われていました。

困ったのはここからなのですが、内科に入院した父がその日から、点滴を抜いてベッドから起きようとしたり、治療のための絶食水分断ちに考えられないほど我慢できず、怒り出したり、点滴を飲もうとしたり。さらには、体につけたすべての装置をはずし家に帰ると暴れたりしたため、安全確保のために精神科病棟へ移し拘束もしたいと医師からいわれました。

でも、見舞に行った時には受け答えも問題無くもともとわがままな所のある父なので自宅に帰れば元に戻るのではないかと頼み、安定剤と睡眠を促す注射で様子をみることになりました。すると、話しは出来るものの自分では起きあがれないほど元気がなくなり、食欲も全く無しでした。

数日後、減らしていたその薬をすっかりやめたところ、またいきなりハイテンションになり、心配していたら翌日の夕方暴れてガラスを割るなどと騒いだので拘束していると呼び出されました。そこで医師と相談し特別に家族の希望で退院し、もとの環境にもどしてみることにして帰宅しました。

しかし、帰宅後も毎晩起きたり寝たりを繰り返し、真夜中に料理(趣味)をすると聞かず、止めようとすると手をあげたり、頭突きをしてきました。実際には食べられるものはできませんでした。家に帰ろうなどとも言ったりします。でも、作りかけた料理のことはごまかそうとしてもおぼえています。家族のこともわかり、あいさつなど前と変わらぬ調子でかわします。

医師からはただのせん妄ではないようだと言われました。いま精神の方の薬は飲んでいません。このまま様子を見ていて良いでしょうか。急に痴呆になってしまったのか、すこしでも良くする治療があるのでしょうか。


: お父様の症状は、せん妄だと思います。せん妄は、脳に何らかのダメージが加わればどんな人にも起こり得ますが、特に高齢者では起こりやすく、この【0847】のお父様のように、体の病気による発熱などをきっかけに起こることは非常に多いものです。
このメールに書かれている症状は、どれもせん妄に一致するものです。
そして、せん妄の特徴として、夜に悪化しやすいということが挙げられます。

帰宅後も毎晩起きたり寝たりを繰り返し、真夜中に料理(趣味)をすると聞かず、止めようとすると手をあげたり、頭突きをしてきました。

この記載からは、夜と昼の状態に差があるかどうかまでは読み取れませんが、もしこのような夜の状態に比べて昼間は比較的落ち着いておられるとすれば、せん妄の診断はますます確実になります。

せん妄に対しては、まずもとの病気を治療することが基本です。お父様の肺炎や心不全の状態はどうなのでしょうか。まだ治す余地があれば、その治療を優先することが必要です。
そして、もし肺炎や心不全などが十分に回復しているのであれば、せん妄そのものについては特に治療をしなくても経過にまかせていれば、まず間違いなく自然に治ります。

医師からはただのせん妄ではないようだと言われました。

このように言われた理由が私にはわかりません。何かこのメールに書かれていない重要な情報があるのでしょうか。それがないとすれば、

このまま様子を見ていて良いでしょうか。

それが最善だと思います。ただし、症状が激しければ、薬物療法を考慮する必要もあるでしょう。せん妄の薬物療法については【1053】をご参照ください。



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