精神科Q&A

 【0817】生きにくさを感じている私は統合失調症でしょうか


Q:30歳代の女です。自分は精神病ではない、とずっと思ってきたのですが先生のHPを拝読して、わたしは統合失調症なのかもしれないという気持ちが強くなってきました。
先生の考えをお聞かせいただければ幸いです。思い当たるのは、以下の点です。

・小学校低学年の時、学校生活に馴染めず、一時不登校になった(授業参観の時、隣の席の子が怒られているだけで、私は真っ青になって震えていたそうです)

・小学生高学年から中学生にかけて、何度か自殺を図った。
(血が滲む程度に何度も手首を切りました。当時いじめにあっていましたが、友人もおり、それほど深刻なものではありませんでした。 ただ子供なりに漠然とした「生きにくさ」を感じており、死を考えることで楽な気持ちになったという記憶があります。
 いい子の自分しか受け入れてくれない親の対するあてつけだったかもしれません。両親は結局知らないふりを貫きましたが)

 ・今でも強く覚えているのは、職場で自分の財布が一時見あたらなくなったとき
 「犯人は定期的に見回りにくる警備員に違いない」と全く根拠のない思いこみをしたことです。
 そう確信する一方で、「それを口にしたらおかしい人と思われる」という気持ちもあり、誰にも言いませんでした。

・ひそかに自分は優れた人間だという思いこみがあり、まわりの人間を低く見ている。
 それなのに、自分に冷たくしない、認めてくれる人を崇拝し、ひたすら依存したくなる。(我ながら危ない傾向だと思うので 実際行動に移すことはありません)

・被害妄想が強い。周りの人間はひそかに自分の悪口を言っているのではないかと考えている。(私は醜くて嫌な人間だから みんなに嫌われている、本当はいない方がいいという考えが頭に染みついています)

以上です。
「他人の迷惑になるようなことは絶対にするな」というのが親の教育方針でした。
精神的に不安定な私が無軌道な行動に走ることなく今までこれたのは、そのおかげだと思っています。また、子供のころからいわゆる優等生で、現在仕事の面でもそれなりの評価と収入を得ています。趣味の面でも高い評価を受けていて、私はその点では恵まれた人間だと思ってきました。

しかし、年齢を重ねるにつれ、生きることがとても辛く感じるようになってきました。
がんばって友人や恋人を作っても長続きしません。自分を出して相手に避けられるか、嫌われるのが怖くて徹底的に自分を殺して相手に合わせ、そのうち疲れ果てて自分から離れてしまうかのどちらかです。
家族とのつきあいも億劫に感じ、現在家族とも友人ともほとんど接触はありません。
仕事場でも常に自分を殺して人と接しているため、一見うまくいっていますが実はへとへとで現在、仕事と趣味で外出する以外は家から出ることなく、ひきこもる状態です。
他人と深い関係をもつのが怖い、不眠、疲れやすい、身の回りのことをするのが面倒という傾向は子供の頃からありましたが、最近、ネットで知り合った人に失恋したのをきっかけに急激に記憶力が落ち、仕事の集中も難しくなってきたように感じます。

これは単なる性格の問題なのでしょうか。それとも統合失調症なのでしょうか。



: 難しいです。あえて結論づけますと、どちらかと言えば統合失調症(精神分裂病)ではないように思います。

・小学校低学年の時、学校生活に馴染めず、一時不登校になった

・小学生高学年から中学生にかけて、何度か自殺を図った。


というような、小学校当時からの不適応感。また、

職場で自分の財布が一時見あたらなくなったとき「犯人は定期的に見回りにくる警備員に違いない」と全く根拠のない思いこみをした

周りの人間はひそかに自分の悪口を言っているのではないかと考えている。


というような妄想的観念を合わせると、確かに統合失調症がゆっくりと発症する時の経過に似ていることは似ています。

けれども、30歳代になられた現在に至るまで、少なくとも客観的には大きな破綻はなく、またこれも少なくとも客観的には社会に適応しておられるという全経過、さらには上記の妄想的観念についても、ある程度の洞察が保たれていて、それが変化することが(はっきりとは記載されていませんがおそらく)ないことなどから、あなたを統合失調症と診断することは出来ないといえます。

では診断は何かということになりますが、これはこの回答の最初にお書きしたとおり、非常に難しいと思います。「単なる性格の問題」と「人格障害」の区別は、時に非常に難しいものです。また、今後症状が変化していく可能性もあると思います。精神科を受診し、長い目でフォローアップしていただくことが出来れば、それが一番いいと思います。


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