精神科Q&A

【0811】うつ病の治療を始めたら異常に怒りっぽくなりました


Q現在主人(37歳)が人格障害、うつの診断で精神科に通っております。会社での人間関係によるストレスが発病の原因だったようで、発病後退職し、10ヵ月後復職、3ヵ月後再発、退職し、治療7ヶ月のち2ヶ月前より友人の仕事(造園業)を手伝っております。現在、パキシル40mg、入眠剤マイスリー20mgを服用しています。今では体調もよく、安定しているようなのですが、些細な事から怒ると全てが怒る対象になるようで自己中心的になり、訳のわからない我が儘を言います。また、壁を叩いたり、携帯を壊したりしてしまいますが、怒っている時の言動の記憶がほとんどありません。運転中も割り込みなどあるとその車に文句を言いに行きます。今までこんな事はありませんでした。冷静になって本人は反省しているのですが、怒る事を抑えることが出来ないようです。これがストレスになっているような気がします。元々短気で自己中心的な性格でしたがこれが強くなってきている様子です。これは薬の副作用なのですか、 それとも新に何かの精神病なのでしょうか?仕事を再開したのが良くなかったのでしょうか?1ヶ月前に次男が産まれたのが、主人へのストレスになっているのでしょうか?対処法がわかりません。


: うつ病の治療中に、それまでにない病的な怒りっぽさが現れた場合、原因として考えられるのは、主に以下の二つです。
(1) 当初はうつ病であるように見えたが、実際は躁うつ病だった。そして、うつは改善したが、躁状態が出て来た。
(2) 薬の副作用

(1) の例としては【0742】、(2) の例としては【0581】をお読みください。
 この【0811】のケースは、躁状態であるようには見えません。だとすると(2) の、薬の副作用が考えられます。そして【0581】で詳しくご説明した通り、SSRIやSNRIには、従来の三環系の抗うつ薬と比較して、この副作用が多いと考えていいと思います。としますと、いまご主人が飲んでおられるパキシルがSSRIですから、まずはパキシルを中止 (そして他の抗うつ薬に置き換える) ことが勧められます。
 もちろん、「怒りっぽくなった」というのが病的なレベルかどうかの判断は難しく、あなたがご指摘のように、家庭内外のストレスの関与ということも考えられます。しかし、副作用の可能性がある以上、そしてこのケースでの治療薬がパキシルでなければならない理由はない以上、パキシルは中止し、他の薬での治療に移行すべきだと思います。


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る