精神科Q&A

【0094】 父が極端に自己中心的で、すぐに激怒します


Q: 52歳の父が、些細なことで激怒し暴力的になります。お金の使い方なども計画性が全くありません。自分が全能だと思っているようです。また、いま読んでいた新聞が配達されていないと言って騒いだりするなど、認知症(痴呆)のような症状もあります。これは精神医学の守備範囲でしょうか。  

: いつごろから今のような状態 (今の状態そのものは、ご質問のメールにはもっと具体的に書かれていましたが) になったのかということが、診断のためには極めて重要です。若い頃から今のような性格だったのでしょうか?  それとも若い頃からの性格が、最近になって極端になってきたのでしょうか?  あるいは若い頃とは性格が180度変わってしまったのでしょうか?  だとしたらそれは急にですか、徐々にですか? 

 若い頃からずっと今のような性格だったとすれば、人格障害というのが最もあてはまると思います。

 しかし、私の想像では、お父様は若い頃からある程度そういう傾向はあったにせよ、歳をとられるにつれてそれが極端になってこられたのではないでしょうか? もしそうだとすれば、脳の進行性の病気であると思います。症状からいうと、前頭葉か、あるいは脳の深い部分に何らかの障害がある可能性があると思います。自分を抑制する能力の低下や、計画性の低下は、そういう脳の障害でよく現われる症状です。 (前頭葉以外の部分の障害でも、このような症状はあり得ますが)

 私がそのように想像する理由は、

認知症(痴呆)のような症状もあります

という記載です。この症状についてはあまり詳しくお書きになっておられないのでよくわからない点も多いのですが、いずれにしても単なる人格障害では認知症(痴呆)のような症状は見られないものです。脳に目に見える変化があるかどうか、検査(CTスキャンかMRI)が必要だと思います。その結果によっては、医学的な治療が有効です。



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