精神科Q&A

【0712】暇さえあれば寝てばかりいる自分に罪悪感があります


Q: 私は46歳の女性です。
半年前に、3年間パートで働いていた先をリストラされたことがきっかけで、うつ状態になりました。

結婚後、出産、育児で仕事を離れていた時期はありましたが、再就職してから、15年間働き続けてきたので、明日から仕事に行かなくてもいい生活が始まると思うと、途方にくれてしまい、この先もう仕事が見つからないのではないかとか、明日から私は時間をもてあまして暮らすのだろうかとか、ネガティブな考えが次々とわいてきて、不安でいっぱいになりました。

それ以来、約5ヶ月間、必死で仕事を探しました。体調があまりよくないことがあり、フルタイムで働くつもりはなく、週2〜3日のパート仕事を探していたのですが、なぜか、採用になっても気に入らないところが目についたりして、採用だと言われた次の日に辞退したり、研修の段階でやめたりして、結局見つからないままでいます。

そんなことを繰り返している間に、5ヶ月ほど前から、何をしても楽しくないとか、以前はちゃんとできていた家事が億劫でしかたがないとか、突然不安になったり、急に泣けてきたりというような症状が現れはじめました。食欲もなくなり、なんとか3回食べてはいるのですが、少し食べると気持ちが悪くなったりするので、時間をかけて無理やり詰め込んでいるという状態です。

この状態が1ヶ月続き、しかもだんだん悪くなっていくように感じたので、自分でもこれはおかしいと思い、心療内科を受診し、軽いうつ状態と言われました。最初はスルピリドを朝晩1錠ずつ、寝る前にトフラニールを1錠飲むように指示されました。それで、いったんはよくなりかけたような気がしたのですが、生理に影響が出たことを先生に話したところ、薬を変えましょうと言われ、アモキサン10mgを朝晩1錠ずつ飲むようにいわれました。でも、せっかく良くなり始めたように思ったうつ状態が、それからまただんだんひどくなってきたのです。

一日中重苦しい気分が続き、何もする気がおきない。何も楽しくない。突然不安になったり、外で気分が悪くなって、座り込みたくなるというような状態が、前よりもひどくなってきました。先生に相談したところ、アモキサンを25mgに変えて、朝晩1錠ずつ飲むように言われたのですが、まったく改善しません。次にアモキサンの代わりに、トレドミンに変えていただいのですが、やっぱり良くなる気配がありません。私は自分がだんだんひどくなってゆくように感じて、思いきって2週間前から心療内科から精神科に変えてみました。

今度の先生からは、ルボックス25mg、コンスタン0.4、アビリット50mgを朝、昼、晩と1錠ずつ、朝5時半くらいに目が覚めてそのあと寝られなくなるという症状に対して、就寝前にドラールを1錠飲むように言われました。その処方に変えてから、午後からの気分が少しよくなるようになり、朝も前よりもよく寝られるようになってきました。
先生からは、「この状態からは必ず脱しますから、あせらずに」と言われ、今の私はその言葉にすがるしかないのですが、ここ1週間ほど、体がだるくて眠くてしかたがないのです。一応必要最低限の家事はしていますが、それ以外のことを何もする気がおきず、暇さえあれば横になって寝ています。寝ても寝ても眠いのです。私は、こんな自分の状態がとんでもなく怠けた状態で、とても無意味な生活を送っているような気がして、辛くてしかたがないのです。家族は眠いときは寝てればいいとい言ってくれますが、自分としては不安で焦ってしまいます。このだるくて眠いという症状は、うつの症状なんでしょうか?今は、こんな状態を嫌がらず、眠いときにはゆっくり休んでいるしかないのでしょうか?早く、以前のように元気になって、家事や趣味をてきぱきとやりたいと思っているのですが、今は焦ってもしかたがないのでしょうか?


: あなたはうつ病だと思います。抗うつ薬でしっかり治療をすれば治ります。焦ることはありません。また、罪悪感を持つこともありません。

はじめに受診された心療内科での治療は、明らかに薬の量が不十分です。アモキサン50mgで効果がなければ、増量すべきだったでしょう。もっとも、この量をお飲みになった期間や、次のトレドミンの量が不明ですので、何とも言えないところではあります。抗うつ薬の治療では、量と期間がとても重要です。「○○という抗うつ薬を飲んでいますが、よくなる気配がありません。この治療でいいのでしょうか」というような質問は非常に多いのですが、量と期間がわからなければ、適切な治療かどうかの判断は不可能です。

今かかっておられる精神科でのルボックス75mg、アビリット150mgという量は、まずは適切だと思います。そして、

その処方に変えてから、午後からの気分が少しよくなるようになり、朝も前よりもよく寝られるようになってきました。

というように、改善の傾向が見られるようですので、焦る必要はありません。十分休養を取るとともに、処方された薬をしっかりと続けることです。また、経過によっては薬が増量されることもあるでしょう。(今の処方をどのくらいの期間のんでおられるのかが不明ですので、増量の時期としていつごろが適切かについては回答できません)


先生からは、「この状態からは必ず脱しますから、あせらずに」と言われ、

という、先生の言葉の通りです。

 それから、ご承知とは思いますが、いま飲んでおられるアビリットと、最初に飲んでおられたスルピリドは全く同じ薬ですので、以前と同じように副作用として生理に影響が出てくることは当然考えられます。アビリットを続けるかどうかは、治療効果と副作用のバランスによって判断するところです。もっとも、前に戻って、最初に出た生理への影響とはどのようなものであったのでしょうか。それが不明ですので何とも言えませんが、アビリットでうつが改善していたことは確かのようですので、そもそもアビリットを他の薬に変えないほうがよかったとも考えられます。副作用が出た時点で薬を変えるかどうかは慎重な考慮を要するところで、もしかするとそのままアビリットを続けていれば、あっさり治ったという可能性もあると思います。

なお、蛇足ですが、最初に心療内科にかかっておられたあなたは、

思いきって2週間前から心療内科から精神科に変えてみました。

と書いておられますが、【0040】の通り、心療内科と精神科は同じものです。あなたのケースではたまたま精神科の治療の方が適切だったということにすぎないと思います。

ちょっと余計なことをいくつか書きましたが、最初に戻ります。回答のポイントは、あなたはうつ病で、今の治療を続ければ治るということです。焦らず治療を続けてください。

その後の経過(2004.12.5.)


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