精神科Q&A

【0686】中学生の息子が精神科に入院し、診断がつかない状態です


Q:  現在15歳(中3)の息子のことでご相談いたします。2年半前、家族の転居のため、息子は、全く知り合いのいない中学に入学しました。そこで何とか馴染みたいと努力をしているうちに、元々繊細で感じやすい性格があったためか、中1の頃より不安と焦りから鬱状態になったり、中2からは躁状態になって高飛車な言動も出始め、双極性気分障害ということで、心療内科の治療を受けていましたが、今年の冬にアトピー(息子はアトピー性皮膚炎で幼少時より生活上苦労をしてきていました)から顔中にヘルペスが広がり、なかなか治らないうちに色々本人の中で葛藤が始まり、春には躁状態が亢進して、寝ないで喋り続けるようになり大学の付属病院の精神科に入院し、抗精神薬の治療を受けて3ケ月になります。

落ち着いているときはほとんど普段と変わらないくらいで、話すこともまともなのですが、これまで3回に渡り、それぞれ約2週間ほど不安が昂じ、幻視幻聴が出て、興奮し、支離滅裂な言動が出て食事も取れなくなり、チューブにて流動食の摂取などの状態を呈しています。落ち着いている時もほとんど刺激を与えないという医師の指示で、ただ部屋に閉じ込めているだけで、2週間ほどで、色々考えているうちに上記のような状態になってしまいます。落ち着いている時は全く以前の記憶も問題なく、話しも疎通性があるので、医師は統合失調症を視野に入れながらもよくわからないという判断で日々が過ぎています。

学校では気軽に話せる友人もいなくて、ほとんど一人で過ごしていましたが、生来のまじめさで学業は優秀で、先生からは本当にまじめな子で一生懸命日々を過ごしているのにかわいそうだと言われています。 なお入院後徐々にアトピーの方はよくなり、今はほとんどわからないくらいによくなっているのですが、このままでは精神状態がさらに悪化し、学校などに戻れなくなるのではと不安です。いったい息子の病気は何なのでしょうか?


: 診断が確定せず、しかも改善の兆しのないまま3ヶ月が経過し、不安に感じられていることはよくわかります。しかし、残念ながら、私にもよくわかりません。それは、あなたのメールの記載が不十分ということではなく、十代前半というこの年齢で息子さんのような症状が現れた場合、よくわからないことが非常に多いということです。当初、息子さんは感情の変化が前景に出て、双極性障害(躁うつ病)と診断されています。その後幻覚や支離滅裂な言動が出て、ただし時にはほとんど正常な時期をはさんでいます。このような場合、

医師は統合失調症を視野に入れながらもよくわからないという判断で日々が過ぎています。

という現状は、残念ながらどこで診断を受けてもほぼ同じだと思います。

一般的にいえば、十代前半で双極性障害は頻度が少なく、一見双極性障害に見える形で発症していても、経過をみていると統合失調症(精神分裂病)であったということは非常によくあることです。「統合失調症を視野に入れながらも」と主治医の先生がおっしゃるのはもっともなことだと思います。病気の頻度から考えれば、統合失調症(精神分裂病)の可能性がもっとも高いということになるでしょう。けれども、今の状態から確定診断することはできません。慎重に経過を見ていく以外ないと思います。


その後の経過 


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