精神科Q&A

【0649】離人症? 現実感喪失症候群? 非定型精神病? 統合失調感情病?(【0234】の続き)


Q: 20代後半の家事手伝いです。以前は会社員として4年働いていました。ただ、ストレスはかなりあって、『お酒を飲むと、心と体が離れるような気持ちになる』と二年前に林先生に相談し、【0234】で「お酒を飲まない方がいいだろう」という回答をいただきましたが、その後、2ヶ月後、離人症、現実感喪失症候群といわれ、会社での通達などの仕事の内容がまったくわからなくなりました。そして退職しました。 

 その後2年たって、だいぶ症状は改善してきましたが、今はうまく話すことができなくて困っています。たとえば英語を話す時、日本人はいったん頭の中で考えてから英会話をすると思いますが、今の私の頭の中は日本語を話すのもそういう感じで頭が働かないのです。31年、どもりはなかたったし、とても元気なおしゃべりな子供でした。一日に何度かどもるようになり、考えながら話しているので、会話も相当遅いのです。頭が働いていない感じがします。例えば、トヨタとソニ-だったらトニ−と言ってしまうような失敗も多々あります。 

 今はル−ラン4mを一日2回、ワイパックス0.5mを一日2回、、イミド−ル10mを一日 6粒飲んでいます。 
 結婚を前提とした彼がいて、彼との付き合いは順調にいっています。普通のカップルと同じです。 ただ、思ったことが、どもりを意識してしまい、思うように話せません。 

 幻聴、幻覚、妄想などはありません。バイトにも行っています。ただ、会話をしないOA事務ですが。。 

 主治医は非定型精神病もしくは統合失調感情病といいます。治れば、病名にはこだわらないのですが、会話というのは日常的に使うものなので、今苦しいです。前の会社で早く早くと追い詰められていたので、そのくせが抜けないのかもしれません。この病気はいったいなんなのでしょうか?


: 二年間の経過をお知らせいただきありがとうございました。あなたのこれまでの経過を要約しますと、

1. お酒を飲むと心と体が離れたような奇妙な感じがあった。飲まない時は何でもなかった。
2. それから二ヶ月後、「離人症」「現実感喪失症候群」といわれ、会社での通達などの仕事の内容がまったくわからなくなり、退職。
3. それから二年たち、だいぶよくなったが、うまく話すことができなくて困っている。

ということですね。薬を飲み始めた時期の記載がありませんが、2.のころであったと仮定してみます。また、当時の処方内容も現在と基本的に同じであったと仮定してみます。
しかし、残念ながら、2.の時期、すなわちもっとも症状が重かった時期の状態が、「会社での通達などの仕事の内容がまったくわからなくなりました」ということしかわかりませんので、あなたの病気が何であるかを推定するのはちょっと無理があります。が、あなたの診断名が 非定型精神病もしくは統合失調感情病 だということが、ひとつのヒントになります(非定型精神病統合失調感情病はほとんど同じ意味です)。
 おそらく2.の時期のあなたは、自覚的には現実感のなさを感じておられ(それは離人症とか離人感と呼ぶこともできます)、他覚的には亜昏迷の状態だったのだと思います。非定型精神病では、周期的に亜昏迷の状態になることがありますので、それをもとに診断が下されたのでしょう。
 そうだとすると、1.の時期には、まだ非常に軽い状態であったため、普段は無症状だったものの、酩酊という一種の意識変容状態にのみ、症状が出ていたと解釈できます。
 そして3.の時期、つまり現在は、まだごく軽い亜昏迷 (本来は「ごく軽い亜昏迷」という言葉は矛盾しているのですが) の状態であると考えるのが妥当だと思います。
 以上はあなたの診断名をヒントにした推定にすぎませんが、大きくは外れていないと思います。いずれにせよ、今の治療をきちんと続けることが必要です。中途半端に薬を飲むなどのことをすると、亜昏迷状態が再発するおそれがあると思います。


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