精神科Q&A

【0630】薬の減量が早すぎるのでしょうか


Q:  私は27歳男性で、IT業界で働いていましたが、約1年前にうつ病と診断されてから半年間の休職をし、その後どうあがいても仕事についていけずに退職致しました。

最初に受信したクリニックでは、一日に
ソラナックス0.4mg 6錠
トフラニール25mg 9錠
トレドミン25mg 6錠
ミラドール100mg 3錠
デジレル50mg 1錠
アモバン10mg 1錠
ロプヒノール2mg 2錠
メトリジン2mg 4錠
ベサコリン1.6g 3袋
を処方されていて、気分的にも大分落ち着いてはいたのですが口の麻痺、酷い立ちくらみ、バランス感覚の消失などの副作用が出てき始めたので、トフラニールをアモキサンに変更されました。

この頃から、母が主治医に対して不信感をつのらせセカンドオピニオンとして別の病院で診察を受けるよう再三にわたって説得するので、他の病院を受診しました。

新しい主治医はさすがにこれは薬の量が多すぎるということで減量を始めましたが、その後、目に見えて精神的な落ち込みや何をするにも楽しくない状態が続き、1日中寝ているような状態が続いています。
現在は1日に

ソラナックス0.4mg 6錠
トフラニール25mg 3錠
トレドミン25mg 6錠
レスリン50mg 1錠
アモバン7.5mg 1錠
ベンザリン10mg 1錠
メトリジン2mg 4錠
ベサコリン1.2g 3袋
セルシン2mg 3錠
アモキサン50mg 2カプセル
アモキサン25mg 1カプセル

を服用しています。主治医は薬を整理し、そこに何かしらの投薬をしてみると症状が良くなる場合があると言っていますが、今現在がとても辛いです。
薬の減量が早すぎたのでしょうか。
また、最初に私に処方されていた薬の量は多すぎたのでしょうか。



1. 最初に私に処方されていた薬の量は多すぎたのでしょうか。

これを判断するには、最初の処方に至る経緯が情報として必要です。この処方をひとめ見れば、確かに量も種類も多いと感じます。しかし、少ない薬では症状がなかなか改善しない場合、さまざまに処方を変更し、結果的にこのような処方で症状が落ち着くということはあり得ることです。
したがって、
最初からいきなりこの処方をされたのなら、この医師は信用できません。(【0311】【0402】もご参照ください)
しかし、
さまざまな変更の結果この処方になったのなら、いちがいに多すぎるということはできません。

2. 薬の減量が早すぎたのでしょうか。

早すぎたかどうかはともかく、薬の減量の後に明らかに悪化していますので、悪化は薬の減量の結果と考えざるを得ないでしょう。
 薬の減量後に症状が悪化した場合は、a. それまでのそれなりに安定した状態は薬によって維持されたものだった。あるいは b. 薬の離脱症状 が考えられます。
b. 薬の離脱症状とは、それまで飲んでいた薬を急に中止したり減量したりした時に出るもので、たとえば【0417】のようなケースです。【0417】の薬とあなたの薬は違いますが、離脱症状はさまざまな薬の中断・減量で起こりますので、あなたのケースで離脱症状が起きても不思議はありません。
しかし、

減量を始めましたが、その後、目に見えて精神的な落ち込みや何をするにも楽しくない状態が続き、1日中寝ているような状態が続いています。

この記載からは、減量後かなり長期にわたってこのような状態が続いているように読み取れます。また、内容もあまり離脱症状らしくなく、むしろうつ病の再燃に見えます。

ですから、あなたのケースは、a. それまでのそれなりに安定した状態は薬によって維持されたものだった と考えられます。したがって今の状態を改善しようとすれば、再度薬を増量する必要があるでしょう。

ただし、それを具体的にどう行うかは難しいところです。単純にはもとの処方に戻すのがもっとも改善の確率は高いです。しかしその場合は前と同じ副作用が出るでしょうし、何より薬の種類が多すぎることが気になります。薬の種類が多いと、副作用の対策も立てにくいものです。(どの薬の副作用かがわかりにくいからです)

そう考えますと、いったんはできるだけ薬の種類と量を整理し、あらためて効果的な薬をさがしていくという方法がもっとも勧められます。あなたの現在の主治医が、

薬を整理し、そこに何かしらの投薬をしてみると症状が良くなる場合があると言っています

とおっしゃっているとおりです。

ですから基本的には今の治療方針は正しいと私は思います。といっても、何といっても今のあなたの自覚症状が最大の問題ですので、今の辛さが耐え難いものであれば、やはり早期に薬の増量をせざるを得ないでしょう。


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