精神科Q&A

【0619】境界型人格障害の友人に対し、感情的な対応をしがちになってきた・続き


・・・続きです

まとめて書くと前ページのような回答になるのですが、現実には「自分の出来ることはここまでという限界を設定し、それを明確に相手に伝える」という原則以後にまだまだ問題があります。

「自分の出来ることはここまで」というメッセージが、境界型人格障害の方にとっては、「それは私を見捨てたことと同じ」と解釈されることがしばしばあります。というより、そう解釈されることの方がずっと多いでしょう。つまり、原則を伝えた時点で、落ち込みや攻撃が出てくるのは、ほとんど避けられないことです。

ですから、原則を守っていれば、このメールの内容のような展開が避けられるという意味では決してありません。おそらくいかなる方法を取っても、基本的には同じような経過になるでしょう。ただ、原則を設定し、それを明確に相手にも伝えることで、たとえ同じような経過であっても、それが単なる悪循環ではなく、時間をかければ回復につながっていくということです。

前ページの最後の一文、

「いったん設定した限界は変えないこともとても大切なことです」

これは、さらっと書きましたが、実際には非常な困難を伴います。よくあるパターンは、境界型人格障害の方が、この設定された限界に納得せず、アピールのために(少なくとも外見上はアピールに見えるということです)、自傷や自殺未遂を繰り返す、という経過です。

その女性の病気を回復させるのにプラスになるという前提で、私は今後もその女性と友人としてのつきあいを続けていっていいものでしょうか。

このご質問に対する回答はイエスです。ただし、「友人としてのつきあい」という言葉でどこまでを想定しておられるのでしょうか。今後、上記のような経過が予想されますので、それ相応の覚悟は必要です。

このようなことすべてが、境界型人格障害の方との関わりだということです。


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る