精神科Q&A

【0618】主人の今回の症状は再燃・再発ではないと診断され私も同感なのですが、どうしたらいいのでしょうか?


Q: 主人(45歳)は1年前、長残業とストレスから会社に行けなくなりました。症状は、

・不眠
・憂鬱、不安、おっくう感
・思考力、集中力の低下、決断困難
・自信喪失

等です。
そして「死にたい」と口にするようになったので、精神科に受診したところ「うつ病」と診断されました。そして、入院し抗うつ薬を服用し始めたところ、1週間ほどで抑うつ症状が劇的に消えました。退院後自宅療養中は外来で認知療法を受け、1ヵ月後に仕事に復帰しました。

 その後、揺り戻しもありましたが、再発予防のために服薬を続けながら1年間無事過ごしてきました。1日の処方薬は、

・トレドミン25mg×4錠(朝夕食後)
・ワイパックス5mg×3錠(朝昼夕食後)
・テトラミド10mg×2錠(就寝前)
・レンドルミン×1錠(就寝前)

です。

 しかし、1ヶ月前、主人の女性がらみの軽率な行動を私が指摘し関係を断ち切らせた翌日から、「うつが再燃した」と言い出し、会社を休んだり早退するようになりました。
 主人は精神科の主治医に「奥さんに対して腹を立てて嫌がらせをしているだけ。会社に行かないのも逃げているだけ。」と言われ、主人も私も「大事なおもちゃを取り上げられて駄々をこねているだけで、再発ではない」と解釈していました。
 しかし、そう言われても主人は気持ちの切り替えができず「死にたい」と繰り返すばかりなので、主治医の勧めで1ヶ月の診断書をもらい、入院しました。1週間目「踏ん張って会社に行く」と言い出し、「早過ぎる」と言う主治医の意見もありましたが、翌々日から仕事に復帰しました。しかし3日目に早退し以後入院前より自信を無くして家にこもっています。

 通院は続けていますが一連の事で主治医との信頼関係も崩れ、「私に弱音を吐けないのなら他の先生に替わった方がいい」、「病気ではなく、うつに逃げているだけ」、「会社での貴方の立場を守るために私にできる事は診断書を書く事だけ」と言われ、今までの薬の処方を出していただくだけです。

 主人は、今回の不調は私との揉め事もベースにあるが、ちょうどその頃新しいプロジェクトが行き詰まってストレスになったのが主因だと主張しています。また、昨年より寒くなってから、背中から両腕にかけて針を刺すような激痛が場所を変えゲリラ的に発生するようになり、整形外科や内科に診てもらっても原因不明でした。

 うつの再燃なら薬で治る希望がありますが、そうでないと診断された今の状態がいつまで続くのか、仕事に復帰できる見通しが全く立たず、主治医は私に「ご主人が大人になるのを待つだけ」と言われ見放されたようで私は非常に不安です。

 主人が自ら「つらい」「死にたい」と言ったり会社に行けない事以外は、食欲もあり今までと同じ睡眠薬でよく寝ている様子や憔悴していない表情を見ていると私も再発とは思えないのですが、どう思われますか?また、再発で無いとしたら、主治医の言う通り「大人になるのを待つだけ」で、休職し続けるしかないのでしょうか?しかしながら、元々真面目で几帳面でモーレツな仕事人間だった主人が、些細な夫婦喧嘩からこのような状態に陥ったという事も納得できません。是非ご回答お願いします。


: うつ病の再発でないとは言い切れないと思います。

1ヶ月前、主人の女性がらみの軽率な行動を私が指摘し関係を断ち切らせた翌日から、「うつが再燃した」と言い出し、会社を休んだり早退するようになりました。

このあなたの文章と、以下の医師の言葉、

「奥さんに対して腹を立てて嫌がらせをしているだけ。会社に行かないのも逃げているだけ。」

これらから見えてくるのは、確かに、

「大事なおもちゃを取り上げられて駄々をこねているだけで、再発ではない」

という解釈です。もっとも、「女性がらみの軽率な行動」の具体的な内容や、これまでのこの問題に関する経緯などについての細かい情報なしに判断するのは避けたいところですが、あなたや主治医の判断も考慮にいれますと、「病気ではなく、うつに逃げているだけ」と感じられます。

それでも、うつ病でないとは言い切れない理由は、二つあります。

第一は、ご主人が以前確かにうつ病の症状があったことです。一年前の症状と抗うつ薬の効き方を見ますと、うつ病の診断は確実だと思います。ということは、ストレスなどによって再発する可能性はあったということです。

第二は、あなたも書いておられるように、
元々真面目で几帳面でモーレツな仕事人間だった
そういう人が、
些細な夫婦喧嘩からこのような状態に陥った
という経緯に、病的な色彩があるということです。
 もっとも、これが「些細な」夫婦喧嘩なのか、そして今回の女性問題のご本人にとっての真の意味がどうかなど、判断するには長期間を必要とする微妙な点もあります。常識的には、「元々真面目で几帳面」だった人が、このような問題で休職までせざるを得ないというのは、単なるわがままとは思い難いですが、異性関係はどの年代においても第三者の理解を超えたものがありますので、何とも言えないところです。

以上、ひとことで言うとよくわからないのですが、ひとつだけ確実なことがあります。それは、あなたのご主人は主治医に見放されているということです。

「奥さんに対して腹を立てて嫌がらせをしているだけ。会社に行かないのも逃げているだけ。」
「私に弱音を吐けないのなら他の先生に替わった方がいい」
「病気ではなく、うつに逃げているだけ」
「会社での貴方の立場を守るために私にできる事は診断書を書く事だけ」


これらの言葉から、見放されていることは明らかです。

主治医は私に「ご主人が大人になるのを待つだけ」と言われ見放されたようで私は非常に不安です。

というあなたの感想は、その通りです。この主治医は、あなたのご主人を見放しています。

ただし、見放すのが必ずしも悪いというわけではありません。患者が過度に医療に依存している場合は、治療(のように見える行為)を続けて長引かせるよりも、自立を促したほうがはるかに優るケースは多々あります。それを「見放す」という言葉で表現するかどうかは見方によるでしょう。

 けれども、ご主人のケースでは、この回答の最初に書いた通り、うつ病の再発の可能性は否定できません。だとすると、今のままでは治療になっていないと言えます。自殺という帰結も考えられます。病院をかえて治療をやり直すことを考えていいと思います。


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