精神科Q&A

【0608】肝障害の治療をすべきか、うつ病の治療をすべきか


Q: 私の主人の事ですが、45歳男性のサラリーマンです。
仕事は大学卒業後、飲料品メーカーの研究員をしており、現在も勤務しています。
就職後、3年目で発病したそうですが、うつ病とは気づかずに上司からは「甘えだ」とか「生活習慣の問題」などと言われ放置されていたようです。
原因を探すために入院などもしましたが、うつ病と診断され本格的な治療を始めたのは4年程前からです。

(私が把握している薬の服用履歴と病状)
・4年前の秋に、20日間入院(とても危険な精神状態でした)
アナフラニール点滴(10日間)→劇的に改善したが急に8キロ体重が増えた。(入院前に正常だった肝機能が退院後悪化したことが血液検査で判明し、主治医からは薬と関係無いと言われ、内科で検査し、脂肪肝と診断され体重を落とすように言われています)
アナフラニール、ルジオミール、ソラナックス、ハルシオン、リーマス服用。
退院後もルジオミールを除く4種類を服用→すぐに復職し暫くは大丈夫でしたが、1ヶ月に一度の頻度で具合が悪くなり連続して3日程は休んでいました。
・3年前の秋、症状が落ち着いてきた事を理由にアナフラニールの処方のみを急に打ち切られました(25mg/日)
その3ヵ月後、症状が急激に悪化し、アナフラニール(100mg/日)を再開し、2週間後回復し、復職。
その後も良い時や悪い時がありながらも何とか仕事を続けていましたが、肝機能が改善されないままなので薬の内容を変えてみる事になり、
・2年前の夏ごろから3ヶ月位かけて徐々にアナフラニールからデプロメールに移行してみる事になりました。
(今思うとアナフラニール10mgとデプロメール2錠の両方を服用していた時が一番体調が良かったように見えました)
・1年前の冬から徐々に元気がなくなったように感じていましたが、以前のような落ち込みは無かったのであまり気にしていませんでした。
体重も落ちて、肝機能も正常値に近づいていたので良いと思っていました。
・同じ年の春になって、強い眠気、脱力感などで出勤できない日が続き、通院も大変だったので自宅近くの病院でとりあえずお薬だけ頂きました。
アナフラニールは肝機能が悪化すると言ったらトレドミンを処方され、14日間服用したが効果が無く、最終的にアナフラニール、デプロメール、パキシル、ソラナックス、ハルシオン、レンドルミンを処方されました。
(体重は以前より更に増加し肝機能はまた悪化しました)
・同じ年の秋になっても強い眠気、脱力感、睡眠障害などの症状が全く改善されず以前かかっていた病院へ入院する事にしました。
・その後4ヶ月入院し、よくなってきたので外泊などで様子を見て今日から徐々に会社へ行ってみる事になりました。
薬は、アナフラニール、ソラナックス、ハルシオン、ダルメートカプセル、になりました。
(リーマスは、1ヶ月前からまた処方されました)
本人は大丈夫、と言っていますが私から見ると外出しても目を閉じている事が多く反応もあまり無く以前のような元気は無い様に思います。
主治医にその事を話し、アナフラニール35を更に増やせるかと聞きましたが減らしていかなければならないのに増やす事は出来ないと言われました。

・1ヶ月前の肝機能検査結果は下記です。
AST 114
ALT 162
ALP 497
γGPT 346
T−Bil 0.3

(質問内容)
1. うつ病は治る病気と思い頑張っていますが、主人の場合、長い間放置していたのでもう治らないのではないかと時々とても不安になります。主人のうつ病は治るのでしょうか? 

2. 主人の場合、肝機能障害の改善とうつ病の治療のどちらを優先させたら良いでしょうか? 

付け加えますと、2年前くらいまでは具合が悪くなると2〜3日間死んだように眠っていてその間トイレも一日一回位で食事も殆どせず4日目位から起きだして会社に行き仕事をするうちに元気になると言うパターンが一ヶ月に一回位ありました。(回復時の悲壮感なども強かったようです)
しかし最近は以前ほどの落ち込みや悲壮感は無く眠気ややる気が出ないなどの症状が長引いて会社に行く気がしない、行っても居眠りするのが嫌で行きたくない、食欲はある、という症状に変化してきていますが、これは良くなっているのか悪くなっているのか、回復途中、どちらでしょうか?
欠勤日数は以前より増えているので会社では悪くなっていると思っているようです。

3. それから最後に恥ずかしい質問ですが、4年前に入院して以来、薬の影響かと思いますが夫婦生活はあっても主人は膣内で射精しません。
私は35歳で、出来れば一人は子供が欲しいと思いますが病気を治すことが先決なので今は主人にはその話はしないようにしています。
アナフラニールの副作用で排尿困難と書いてありますが、その影響でしょうか?
そうだとしてうつ病の薬を飲みながらの改善策はありますでしょうか?



1.うつ病は治る病気と思い頑張っていますが、主人の場合、長い間放置していたのでもう治らないのではないかと時々とても不安になります。主人のうつ病は治るのでしょうか?

治ります。
長い間放置していたことと、治る・治らないは無関係です。
もっとも、放置していた間に、社会的あるいは家庭的な状況が悪化した場合は別です。というより、通常は、うつ病を放置したり、またはうつ病が長引いた場合には、社会的・家庭的な状況が悪化してしまうのが普通です。そうなると、長引いたうつ病が尚更治りにくくなります。だからこそ早期の治療が必要なのです。
ご主人の会社での状況が不明ですので、もしかすると長期間のうつ病のために立場が悪くなっておられるのかもしれません。もしそうだとすると、それはマイナス要因ではありますが、うつ病そのものに関しては、長い間放置したからといって治りにくくなることはありません。

2. 主人の場合、肝機能障害の改善とうつ病の治療のどちらを優先させたら良いでしょうか?

どちらも必要です。どちらかを先にというわけにはいかないでしょう。
それより治療以前の問題として、肝機能障害の原因をはっきりさせることが必要です。
薬による肝機能障害には、薬による直接の肝毒性というケースもありますが、ご主人の場合は肝障害が体重と比例しているようですので、体重増加 → 脂肪肝による肝障害 というパターンであると考えられますが、それをまず確認する必要があるでしょう。
ご主人のケースでは、いま抗うつ薬を中断するわけにはいきませんので、肝障害を最小にするための処方にするためには、原因(単に「薬」というのではなく、肝障害に至る道筋)をはっきりさせることが必須です。

しかし最近は以前ほどの落ち込みや悲壮感は無く眠気ややる気が出ないなどの症状が長引いて会社に行く気がしない、行っても居眠りするのが嫌で行きたくない、食欲はある、という症状に変化してきていますが、これは良くなっているのか悪くなっているのか、回復途中、どちらでしょうか?

うつ病では、やる気が出ない(意欲低下)という症状は、治る順番としては最後になるのが普通です。したがって、現在のご主人は回復途中にあると判断できます。

3. ・・・4年前に入院して以来、薬の影響かと思いますが夫婦生活はあっても主人は膣内で射精しません。
・・・
アナフラニールの副作用で排尿困難と書いてありますが、その影響でしょうか?
そうだとしてうつ病の薬を飲みながらの改善策はありますでしょうか?


抗うつ薬には、射精遅延という副作用があります。排尿困難とは無関係です。
副作用の出方には個人差がありますので、どれだれの量を飲めば射精遅延が起こるかということは一人ひとりによって違います。ご主人のケースでは、現在の薬の量は治療上どうしても必要と思われますので、その量でこの副作用が出ているということは、この量を飲んでいる限りは射精遅延も続くと予想できます。したがいまして、残念ながら今の薬を飲みながらの改善策はありません。うつ病を早く治し、薬を減らすのが唯一の対策になります。


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