精神科Q&A

【0559】うつ病がよくなってきたのですが、「自分は治るべき人間ではない」という考えが頭をよぎるようになりました


Q: 33歳男です。
 3ヶ月程前から不眠・イライラ・劣等感等がひどくなり、上司の進めもあって精神科で診察を受けました。
 診断結果は「うつ病」との事で薬はトフラニール10mg、トリプタノール25mg、メイラックス1mg、レボトミン5mgを処方され、朝・トフラニール1錠、夜・各薬を1錠づつ服用しておりました。2週間後の診察で、あまり症状の変化が見られなかったのでトフラニールが10mgから25mgへ変更されました。(他の薬は変わっておりません)
 診断結果を受け会社と相談の上、現在は休職中です。休んでいる事と薬を服用し続けた結果、当初はうつ病の症状(自責念慮・罪悪感・自殺願望)がひどかったのですが、現在は不眠、食欲不振以外は徐々に回復しつつあり嬉しく思っておりました。

 しかし、その反面、最近になって「自分は治るべき人間ではない」・「治っても所詮、自分は価値の無い人間だ」等の考えが頭をよぎるようになりました。なんと言うか治るのが不安で怖いのです・・・ 会社に復職したいのか、したくないのか分からないのです。ただ治す自信が無いだけなのかもしれませんが・・・

 なお、このような考えが出るようになってから間もなく、会社の上司(私に診察を勧めてくれた方です)に会う機会がありました。その日は朝から気分も落ち着いており、妻との会話もギコチナイながらもできておりました。妻が買い物へ出掛けた直後に電話があり上司と会う事になりました。うつ病と診断されてから2回ほど会社の上司と会う機会があったのですが、2回とも自分からは話をする事が出来ず、付き添ってもらった妻が会話を進める状態でしたので、今日こそは自分から何か話せるだろうと思いひとりで待ち合わせ場所へ向かいました。待ち合わせ場所へは自分が先に着き、上司を待つこととなりましたが時間が迫るに従い鼓動が早くなるのを感じました。またうつ状態が始まってしまったのです。結局その日も何も話すことが出来ず、帰宅してから自分自身が非常に情けなく妻の前で泣いてしまいました。

「自分は治るべき人間ではない」という考えから、このような情けない状態までの、私の状態は何なのでしょうか。ただ復職したくないからでしょうか。それともこれもうつ病の症状なのでしょうか。
 先生の書かれた「うつ病の相談室」を読ませて頂きましたが、自分と同様な症状が載っていないようでしたので、質問させて頂く次第です。


: すべて、うつ病の症状です。治療を続けていけば治るでしょう。あせらず今の治療を続けることをお勧めします。
自分は治るべき人間ではない
治っても所詮、自分は価値の無い人間だ

等の考えは、いずれもうつ病の症状としてよく見られる微小念慮(びしょうねんりょ: 自分の価値を過小評価すること)です。ごく典型的な症状で、あなたのこれまでの経過とあわせて、うつ病であることは間違いありません。抗うつ薬の治療で改善に向かっていることも読みとれます。ただ、治療開始して3ヶ月の時点で、あなたのような症状がある場合、今の薬の量(三環系抗うつ薬の量が合計50mg)は少なすぎます。うつ病の相談室をお読みいただいたとのことですので、うつ病が長引く最大の原因のひとつは、抗うつ薬の量が少なすぎることであるのは理解されていることと思います。薬の量については、主治医の先生とご相談されることをお勧めします。

その後の経過(2005.6.5.)


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