精神科Q&A

【0536】うつ病ですが、産業医に会いたくないのです


Q: 30歳女性です。携帯電話関係の仕事をしています。
 一昨年から1年くらい、週に2、3回徹夜、その他の日は終電、という過酷な仕事に加え、同僚のいじめにもあって、辛い日々を送りました。
 昨年の暮れ、少し仕事が落ち着いて、親しい友人と旅行に行って楽しんだのですが、その直後から、仕事もやる気がなくなり、体が動かなくなりました。
 また、ご飯より優先していた趣味も興味がなくなり、愛読していた雑誌も見る気がしなくなりました。
 いくらなんでもおかしいと思い、近所の心療内科に行き、うつ病と診断されました。
幸い、主治医の先生が、自分に合う先生で、あまり深いことは聞いてこなくて、調子を見て、何回か薬を変えて、今は、薬さえ飲んでいれば、なんとか普通に暮らせます。
 ただ、再三休職を勧められてきましたが、会社のほうでは仕事が忙しいのを理由に認めてもらえませんでした。
 一度、診断書を課長に提出していますが、封も切ってもらえませんでした。
 それで、時々有給休暇をとりながら、週2回の徹夜仕事も今までこなしてきました。

 しかし、そんなプロジェクトも、とうとう終わりになり、休職してもいいということになりました。
 私としては、やはり休職したいのですが、休職すると、復職の際に産業医の面談が必要になります。
 私は、この産業医がどうしても苦手で、面接の後は、必ず調子を崩します。
1回目の面接は、
「あなたの職場は、環境が悪いので、すぐに異動を考えましょう。」
と言われたのに、2週間後の2回目の面接は
「この会社には、異動したい人がたくさんいるのに、あなただけ特別扱いできない。」
でした。この時点で、人事部に1回目と2回目は言うことが全く違うから、信頼できないので、もう面接を受けたくないと連絡したら、携帯に直接先生から電話があって、
「あなたの異動は最優先で考えています。だから次の面接は来てください。」
と言われました。
しょうがなく、次の面接に行ったら、
「あなたの病気は、一生治りません。治ったとしても、そんなケースは極々まれです。
決して治りません。」
と言われました。また、面接中は、ずっと話の内容をパソコンに打ち込んでいるのに、
「妹さんは、確か亡くなったのですよね。」
と言われ、驚きました。別居中の妹がいて、自殺未遂を時々起こすので、メールが帰ってこない時など、本当に心配なのに、なんて事を言うんだと、腹がたちました。
それで、また人事に、私の病気は薬を飲んで休養さえすれば完治すると言われ、専門の先生の指示に従って、治療しているのに、絶対に治らないという医師の面談はもう受けたくないと伝えました。するとまた、携帯に電話があって、
「あなたの病気は、絶対に完治します。だから、次の面談は来てください。」
と言われました。

 もう二度とこの産業医の面接は受けたくありません。面接があると思うと、それが恐怖で休養も出来ないのではと思います。
 それでも、やっぱり、主治医の勧めに従って、1〜3ヶ月休んだ方が体のためなのでしょうか?
 それとも、今まで通り、薬を飲みながら働いて、長い時間かけて治した方がいいのでしょうか?
 また、産業医の面接を受けたくないのは、私のわがままでしょうか?


: 主治医の先生の勧めに従って休まれるのが最善だと思います。そうすればあなたのうつ病は治るでしょう。

 あなたの会社の産業医の対応はひどいと思いますが、会社自体の対応もあまりにひどいと思います。

診断書を課長に提出していますが、封も切ってもらえませんでした。
というのは、信じ難い対応です。

それで、時々有給休暇をとりながら、週2回の徹夜仕事も今までこなしてきました。
とのことですが、なんとかここまで無事にすごせて本当によかったと思います。職場の無理解による無理な仕事の連続、これはうつ病の人を自殺に追い込むパターンです。

 このような職場自体の対応は、もしそうしなければ会社が倒れる状況だということであれば、百歩譲って我慢するとしても(いや、本当は千歩譲っても我慢できないのですが)、社員の健康を守るべき産業医の対応が、あなたのお書きになったとおりとすれば、これはいかなる理由があっても認めがたいことです。あまりにひどい。あなたが産業医の面接を受けたくないと思うのは当然で、決してわがままではありません。

と私がここでいくら憤慨してもどうにもなりませんので、現実的な対策を考えましょう。

 おそらく、その会社に勤めておられる以上は、その産業医の診察を受けないというわけにはいかないのでしょう。「産業医の面接を受けたくないと思うのはわがままではない」と今いいましたが、もし面接を拒否すれば、それはその会社に勤める人間である以上は、わがままとみなされてしまうでしょう。

 とすれば、とにかく診察に行くことは行って、診察のときは表面的には従うような顔をして、適当に診察時間をクリアするのが最善だと思います。

 その一方で、当然のことながら、主治医の先生の治療はこれまで通りきちんと続けてください。医療はすべて主治医の先生におまかせし、産業医の診察のほうは仕事の一部と割り切りましょう。診察のときにまた変なことを言われるかもしれませんが、それも仕事だと思って。

 休職すると復職のときに産業医の面接を受けなければならない、それを避けるために休職しないというのは、賛成できません。主治医の勧め通り休み、復職のときの産業医面接は、ただ通過するようにしてください。うつ病を治すことが第一です。

その後の経過(2006.9.5.)


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