精神科Q&A

【0519】20年前に自殺した母の病名が知りたい


Q: 20年前に自殺した母の病名が知りたいのです。
当時私たち家族は、母、母の父親、父、私達姉妹の5人で生活していました。
 父と祖父の折り合いが悪く、父は暴力的で自宅にもあまり帰らず(夜勤のある仕事だったので)母は板ばさみで辛い毎日を送っていました。
母の様子がおかしいと感じたのは母が44歳、私が12歳の頃でした。
 ブツブツとひとり言を言うようになり、ソワソワと落ちつかなくなりました。
 姉が高校受験で金銭的な不安も重なり何度も姉の中学に出掛けて行き姉の教室の前をウロウロし先生に受験は大丈夫なのか?と再三尋ねるようになりました。
姉は恥ずかしさから母に学校に来るのは止めて欲しいと頼んでも耳に入っていないようでした。
 父と祖父の不仲、父のギャンブル癖、姉の受験とストレスが重なったせいなのかは不明ですが突然「死ぬ」と言って物干し竿に紐を掛け首を吊ろうとするのですが足は地面に着いているのです。

 そんな状態が2年周期で起こり姉の結婚が決まった頃、最後の症状が出始めました。
 その5年前に祖父が亡くなり母の姉妹と遺産相続で骨肉の争いとも思える位揉め、結局、母の生存中に解決する事はありませんでした。
 母はまた意味不明な独り言を言い、家の中をウロウロし何度も父に電話をかけ同じ話を繰り返していました。
仕事にならなくなった父は休職をし、1日中母に付き添うようになったのですが、今度は少し目を離した隙にいなくなるようになり近所をうろつき知らない人にまで一方的に自分の悩みを訴えるようになりました。
 父が話しを聞かなかったわけではないのですが父にしてみれば母の悩みは小さく思え受け止める事をしなかったのかもしれません。
 そんな父もさすがに参ってしまい保健所へ相談に行き病院を紹介して頂き予約をいれて帰ってきました。
母の症状は急激に悪化し誰の話も耳に入らなくなり、ある晩また居なくなり警察に連絡した所、挙動不審者として保護されていました。
 その夜、私達家族は疲れきっていて皆熟睡してしまい翌朝早く、母がいなくなった事に誰も気づきませんでした。
 警察から連絡があり近所で投身自殺があったがお母さんではないかと言われて初めて母がいない事に気づいたのです。
 その日は病院へ行く日でもありました。

 あの日から20年あまり経ち、父も9年前に他界しました。
 結局母は一度も病院へ行く事もなく亡くなり病名もわからないままです。
 母は精神病だったのでしょうか?
医学書を読んでもスッキリあてはまる病名が見つからないのです。
 私自身が母の年齢に近くなってきたこともあり、ここ数年母は一体何故死んでしまったのか思い悩むようになりました。
 もし病名がわかったら永年のモヤモヤがなくなるような気がして、メールさせていただきました。


: お母様はうつ病だったのだと思います。もうひとつ考えられる病名は非定型精神病です。また、解離性障害も否定はできません。

が、もっとも考えられるのは、うつ病です。

44歳の時の初発症状、
ブツブツとひとり言を言うようになり、ソワソワと落ちつかなくなりました。
何度も姉の中学に出掛けて行き姉の教室の前をウロウロし先生に受験は大丈夫なのか?と再三尋ねるようになりました。


これらは、不安焦燥の強いうつ病と解釈できると思います。妄想もあったのかもしれません。うつ病で、不安焦燥(落ち着きのなさ)がもっとも目立つ症状ということは、時々あることです。

突然「死ぬ」と言って物干し竿に紐を掛け首を吊ろうとするのですが足は地面に着いているのです。

二十年も前のことで、しかも当時あなたは十二歳ですので、この時のはっきりした状況はよくわからないと思いますが、もしこの通りだとすれば、これはいわゆる自殺のポーズで、これだけを見ればうつ病らしくないとは言えます。けれども、不安焦燥が目立つうつ病の場合、まとまりのない行動を取ることも多く、その一環として完遂できない自殺企図が現れたと考えられます。

そんな状態が2年周期で起こり

というのは、具合の良い時期がどのくらいで、症状がある時期がどのくらいということなのでしょうか。良い時期が2年くらい続き、何ヶ月か症状が続いた、ということでしょうか。他の解釈もできますが、一応「2年は良い。何ヶ月か悪い」ということを繰り返したとすると、うつ病として矛盾はありません。

 そしてお姉さまのご結婚が決まった頃の最後の症状、

意味不明な独り言を言い、家の中をウロウロし何度も父に電話をかけ同じ話を繰り返していました。

少し目を離した隙にいなくなるようになり近所をうろつき知らない人にまで一方的に自分の悩みを訴えるようになりました。


これらは、不安焦燥の強いうつ病の悪化と考えられます。症状のニュアンスが少々違いますが、【0437】の方も、不安焦燥の強いうつ病という点では似ています。

母の症状は急激に悪化し誰の話も耳に入らなくなり

という状態は、【0437】でも解説した、亜昏迷に近い状態だったのだと思います。

 そして、不幸な結果になってしまった。

 大変残念なことだったと思います。今このようなことを申し上げるのが適切かどうかわかりかねますが、事実を申し上げます。お母様の、もっとも考えられる病名はうつ病です。だとすれば、治療のすべがあったのに、大変残念なことです。


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