精神科Q&A

【0492】うつ病の母に、抗うつ薬の治療をしていただけません


Q: 63歳の母は1年半程前から うつ病と診断され、入退院を繰り返しています。私は39歳の長女で、母の家の近所に住んでいます。
 母ははじめにパキシルを3ケ月程服用していましたが、手の震え、瞼の痙攣(まぶしがる?)、微熱など、副作用が強く出過ぎるということで中止となり、その後テシプールを短期間投与されたこともありましたが去年の7月からは睡眠薬が複数投与されているだけです。
 そして半年ほど前から電気ショック療法を始めていただき、現在まで20数回も受けました。
 電気ショック療法の効果は確かにあるようなのですが劇的に回復し家族中大喜びしたと思ったら数日でまた元に戻ってしまい、また電気ショック療法を受けるという状態を繰り返しています。
 家族としては、電気ショック療法だけでなく、抗うつ薬の投与も幾度となく主治医にお願いしているのですが、「副作用が出易い体質なので投与しません」の一点張りです。
でもどの専門書を読んでも、抗うつ薬の服用の重要性が書かれています。
 抗うつ薬は何種類もあるのに、いろいろ試すこともせず、副作用に拘って投与しないという治療方針に疑問を感じています。
 母はアレルギーもなく、特に変わった体質とは思えません。
 そんなに拘らなければいけないほど、人並み外れた副作用なのでしょうか?
 抗うつ薬を服用しなくても、治るということがあり得るのでしょうか?

: 私もこの治療法には疑問を感じます。ご指摘のように、抗うつ薬は何種類もあるので、ある薬で副作用が出たからといって、薬物療法をすべてやめるという方針には賛成できません。また、実際にお母様に出た副作用を見ても、少なくともメールの記載からは、それほど重大な副作用には見えません。もっとも、
「抗うつ薬を服用しなくても、治るということがあり得るのでしょうか?」
というご質問に対する回答はイエスです。自然に治ることもあるし、電気ショックだけで治ることもあります。ただし、自然に治るのを待っているのは、その間の本人の苦痛があまりに強いうえに、いつ治るか全くわからないので、自然にまかせるというやり方は通常はしないものです。

 また、電気ショックでよくなってもすぐに元に戻ってしまうことを繰り返しているとのことですが、【0249】にお書きしたとおり、電気ショック(電気けいれん療法)は、何回か続けて行わないと効果は持続しないものです。20数回受けた、とお書きですが、どのような間隔で行われたのか、それを確認したいところです。中途半端に施行されたのではないでしょうか。

 そんなことまで疑いたくなるのは、抗うつ薬をいっさい使わないという治療方針の、理にかなった理由が見えないからです。そうなると今の病院のうつ病の治療方法全体にどうしても疑いを持ってしまいます。なぜ薬を使わないのか、もう一度先生にお尋ねください。
「「副作用が出易い体質なので投与しません」の一点張り」
で、具体的な副作用の情報や説明がなければ、納得できないところです。


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