精神科Q&A

【0435】60歳の母が、単語の意味がわからなくなってきた


Q:  母が58歳位の頃から、様々な単語の意味がわからない…と言うようになりました。
 例えば「えんぴつって何?」「玉子って何?」「年賀状ってどうするものやったっけ…?」等です。当時、健康診断やCTスキャンなど検査したのですがどちらも異常はありませんでした…。
 また、母は昔から自営で小さな食堂をやっているのですが、こんな状態でも普通に営業しています。(当然 注文についての失敗は増えるばかりです)
 後、見た目の変化について書きますが
 明らかに娘の私が見ても何て言っていいかわかりませんが…目がうつろというか…
きょとんっ?とした目というか…。そんな感じなので当然 近所の人や常連のお客さんをはじめ 初対面の人が見ても「なんかちょっとおかしい…?」と思われる程です。
 これらすべての症状は母自信もよくわかっていて よく「言葉の意味がわからんわー」ってつぶやいています。食欲の方ですが、作ってまではいらないが、目の前にあれば食べるという程度で以前から考えたら 全く欲がなくなってしまいました。勿論、体重も10キロくらいは減ったと思います。
 買い物などの外出は普通にしますし、笑って会話もしますが ただ言葉の意味がわからない事もあってスムーズにキャッチボールはできません。母は「うん、うん」とうなずいてるだけです。

: 痴呆の始まりだと思います。今のお母様の症状は、軽い失語症が主です。痴呆の初発症状として、失語症が出ているのだと思います。これは珍しいことではありません。そして60歳の現在では感情や意欲の低下も出ているようです。痴呆の診断は間違いないでしょう。
 痴呆の種類としては、アルツハイマー病前頭側頭型痴呆の可能性が高いと思います。お母様の症状のように、単語の意味がわからないという形の失語で始まるのは、前頭側頭型痴呆に特徴的なのですが、アルツハイマー病でもあり得る症状ですので、どちらも考えられるところです。
 アルツハイマー病にしても前頭側頭型痴呆にしても、脳が徐々に萎縮してきますので、CTスキャンやMRIの所見が重要です。二年前のCTスキャンでは異常なしとのことですが、もう一度検査を受けたほうがいいでしょう。
 それから、脳の血流を見るSPECTという検査もあります。CTやMRIで萎縮が見られなない時期でも、SPECTでは異常が認められるのは非常によくあることです。おそらく二年前の時点でも、SPECTを行えば異常所見があったと思います。いま検査を受ければ異常所見が見つかる可能性はさらに高いです。
 今すべきことは、受診して診断を受けることです。精神科か神経内科がいいでしょう。その結果、たとえばアルツハイマー病なら、進行を遅らせる薬で治療することが可能です。


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