精神科Q&A

【0434】うつ病の薬と性交について


Q: 私は25歳の女です。32歳の夫は、「うつ状態」ということで、2年半前に40日、2年前にも30日入院しました。 現在は1〜2ヶ月に1回のペースで通院しています。会社は、普通に勤務していますが、朝の体調がすぐれない事が多く、2時間程遅刻することが多いです。主治医からも、「適度に休養日を設けながら、出勤するのが望ましい」との診断を頂いていて、ほぼその通りに生活しています。
 相談したいのは、性生活のことです。
 夫も私も、子供が欲しいと願っているのですが、性交時に勃起しなかったり、途中で萎えてしまったりで、最後まで出来ません。
特に夫は、子供が早く欲しいようなので、気にしているようです。
 服用している薬の説明に「興奮を鎮める」等の記載もあるので、それが原因なのでしょうか? (入院していた頃は、性欲もまったく無かったのですが、昨年あたりからは、性欲が出てきたようです)
 現在薬は、セパゾン1mg;1錠、アナフラニール10mg;2錠、パキシル10mg;1錠を夕食後のみ服用しています。
 薬と性交の関係について、ご回答いただけたら・・・と思います。

: ご主人の性生活についての症状の原因は、うつ病そのものによる症状と、薬の副作用の、二通りが考えられます。結論を先に申し上げますと、うつ病そのものによる症状の可能性のほうが強いと思います。
 抗うつ薬にはどれでも、性機能障害の副作用の可能性があります。それは勃起障害、射精不能などの形で現れます。これは「興奮を鎮める」という副作用との直接の関係はありません。性機能自体への副作用です。抗うつ薬の中では特に、SSRI、SNRIでよく見られる副作用ですが、他の抗うつ薬でもあり得ます。
 したがって、今ご主人がお飲みになっている薬の中では、パキシルの副作用の可能性がまずは考えられます。けれども、10mgという非常に軽い量ですので、これが原因で性生活に大きな支障をきたすとはあまり考えられません。アナフラニールも20mgという少量ですので、こちらもあまり影響はないでしょう。
 そこで、うつ病そのものの症状の可能性のほうが強くなってきます。これまでの経過をみますと、当初は性欲そのものがなく、現在は性欲は回復したものの性交がうまくいかないという状態ですね。これは、うつ病の回復過程の一時的な症状としては、非常によくあることです。
 ですから、今はあせらずうつ病の治療に専念することが第一です。性交がうまくいかないことを悩みすぎると、今度は心因性の勃起障害になることも考えられますので、今は逆にあまり気にしないほうがいいでしょう。うつ病の回復とともに、性生活も元に戻ります。


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