精神科Q&A

【0375】妻が医師の指示を守らない。しかし医師にそれを伝えられない。


続きです

 前頁は、「この状況を主治医が知らないとしたら」という仮定のもとに回答したものですが、主治医はこの状況(奥様が薬の飲み方の指示を守っていないこと)を承知している可能性も十分あると思います。承知まではいかなくても、少なくとも指示を守っていないことを疑っている可能性はさらに高いと思います。それなら処方を続けるのはおかしいのではないかと思われるかもしれませんが、仮に医師が奥様に、「指示を守っていないのではないか」と質問したり、あるいは「指示が守れないのなら処方しない」と告げたとしますと、その時点で治療は中断になるでしょう。もちろんあえてそうすることもありますが、医師が何とか治療を続けるつもりであれば、さしあたってはすべて承知の上で処方ないしはカウンセリングを続けることは比較的よくあることです。それをいつまでも続けるわけではなく、どこかでそれまでの治療の流れを変化させるわけですが。
 前頁の最初に私は「奥様の診断名が何であれ、このままでは治療にならず、改善は期待できません」と書きましたが、これは必ずしも「だから夫であるあなたが早く何とかしなくてはいけない」という意味ではなく、このままでは治療にならないことは主治医も承知の上で、それでも治療を続けているのかもしれないという意味を含んでいるのです。
 いずれにしても、前頁の結論、「主治医に手紙で今の状況を伝える」ことは、大いに意味があると思います。


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る