精神科Q&A

【0329】音に過敏になっている父【0064】のその後


Q:  先日、質問【0064】をさせていただいた者です。あれからのご報告を兼ねての質問をさせていただきます。
 結局、1カ月前に父は、本人を説得して本人自らの足で病院に行かせるという業者に依頼して何とか入院させる事が出来ました。
 検査の結果、主治医の先生の意見としてはまったく見えない物が見えたり聞こえたりしているわけではなく、実際に飛行機は飛んでいるし、バイクも走っているという点から(ただ、自分を監視しているという点は先生にも理解できないとは言っている)統合失調症(精神分裂病)ではないとの事で(また違う名前らしいのですが)とりあえず外泊許可が下り、今月になって3日間家に戻ってきました。
 最初は和気あいあいと会話をしていたのですが、父の「病気でもないのに病院に入らされて警察と説得した業者を訴える」の一言でまた家族中で口論となってしまいました。父はまだ自分を病気だと自覚していません。こんな状態で外泊許可を出した主治医の先生に少し不信感を覚えました。(折を見て私も主治医の先生と話をしてみるつもりですが。)
 これから投薬治療などで今よりは良くなるのでしょうか。
 退院しても妄想が取れないようならまた前の生活に逆戻りになるのではと不安です。

: 入院治療を開始されたことは、まずは非常に良かったと思います。また、経過をご報告いただきありがとうございました。いろいろご心配のようですが、とにかく治療を開始したということが何といっても大きいと思います。もちろんこれからさらに改善することを期待していいと思います。
 いただいたメールについては、二つほどコメントがあります。
 ひとつは診断についてです。

検査の結果、主治医の先生の意見としてはまったく見えない物が見えたり聞こえたりしているわけではなく、実際に飛行機は飛んでいるし、バイクも走っているという点から(ただ、自分を監視しているという点は先生にも理解できないとは言っている)統合失調症(精神分裂病)ではない

とのことですが、私は統合失調症(精神分裂病)の可能性が高いと思います。「まったく見えない物が見えたり聞こえたりしているわけではなく、実際に飛行機は飛んでいるし、バイクも走っているという点から統合失調症(精神分裂病)ではない」というのは、不可解な説明です。しかも「自分を監視しているという点は理解できない」というのは、とても専門家の発言とは思えません。実際に存在するものを自分に関係づけて、たとえば自分を監視しているというように妄想的に解釈するのは、関係妄想または被害妄想で、統合失調症に典型的な症状です。ですから、お父様の症状は、統合失調症の一症状として全く矛盾はありません。
 おそらくこれは、その先生が間違っておられるのではなく、あなたが先生の説明を誤解しておられるのだと思います。この先生の説明の意味は、妄想だけがはっきりした症状で、幻聴がないので、統合失調症ではなく、妄想性障害である、ということだと思います。「自分を監視しているという点は理解できない」というのは、先生が理解できないということではなく、一般的にいって理解できないことだから、妄想である、という意味ではないでしょうか。そうであれば、すべて納得がいきます。

 また、

こんな状態で外泊許可を出した主治医の先生に少し不信感を覚えました

というのは、あなたの認識が間違っています。外泊許可というのは、症状がきれいになくなった時点で出すとは限りません。また、仮に病院ではきれいになくなっていたとしても、家では全然よくなっていない、ということもよくあることです。ですから、外泊、特に一回目の外泊は、試験的な意味あいが強く、家での様子を観察し、今後の方針を立てるというのが主たる目的であることが大部分です。(もし症状が完全に良くなっている場合は、外泊ではなく、退院になるでしょう)
 お父様の妄想の症状は、治療開始まで何年も続いていたわけですから、そうすぐに良くなるというわけにはいかないかもしれません。けれども、最初にお書きしましたように、とにかく治療を開始できたということが非常に大きな第一歩です。ただ、あくまで第一歩にすぎないというのも事実ですので、今後根気よく治療を続けていくことが重要だと思います。

その後の経過


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