精神科Q&A

【0323】境界性人格障害の娘が過呼吸の発作を起こした


Q:  20歳の娘は、一年ほど前に、入院先の医師から境界性人格障害(ボーダーライン)と診断されました。最近はかなり良くなってきていると私には感じられ、また医師からもそのように聞いていたのですが、一週間ほど前に、友人と会う予定が連絡がうまく取れずキャンセルになってしまい、落ち込んでしまいました。その日の夜になってようやく連絡がつき、今からでも会えないかと言ったようですが、断られ、非常に落ち込んでしまいました。その時は私は〔もう遅い時間だから、断られて当然だし、これ以上しつこくしたら嫌われるから止めなさい〕といったら、パニックになり過呼吸になってしまいました。
 「嫌われる」という私の言葉に異常に反応してしまったようでした。これまで私が落ち込む娘に色々な助言をし過ぎたせいでしょうか。カウンセラーの方から失敗を一杯しなさい、それがあなたの今後の糧になるからと言われてきましたので、決して責めるつもりはなかったのですが、結果的には娘を責めてしまうことになってしまったのでしょうか。
 今後、娘とどの様に接したらよいのか又、過呼吸という症状は初めてでしたが、今後も何かの時に起こる可能性は有るのでしょうか?外で過呼吸がおきたり、友人と会っているときに症状が出たりしないかと心配です。

: 過呼吸発作は、境界性人格障害の方では、それほど珍しい症状ではありません。ただ娘さんの場合は初めての症状で、しかも良くなっていた矢先であったため驚かれたことと思います。しかし、おそらくは治療過程の一症状とお考えになっていいと思います。
 カウンセラーの方に「失敗が必要」という意味のことを言われたとのことですが、失敗が必要なのはご本人だけではないと思います。ご家族であるあなたにも必要だと思います。治療者の側にも必要かもしれません。境界性人格障害の治療が、なんの失敗もなくスムースに進むということはほとんど考えられず、もしそういうことがあれば逆に真の問題が何も解決されていないと判断するべきでしょう。
 今回のエピソードについては、(当然すでにそうされたことと思いますが)、主治医やカウンセラーの方に報告し、その意味や今後について相談されるのが第一だと思います。
 それから、せっかくメールでご相談いただきながらこういうことを言うのは心苦しいのですが、一年以上治療を受け、しかも良好な経過であるのにもかかわらず、たった一回予期せぬ出来事があっただけで、ネットを通して私のような見ず知らずの者に相談される、というのは、それ自体があなた自身が地に足がついていないことを示していると思います。本人を支える立場にあるあなたが地に足がついていないことは、治療が難航する要因になるでしょう。少々のことには動じず、今の治療を続けることが、ご本人のために最も必要なことでしょう。
 なお、「外で過呼吸がおきたり、友人と会っているときに症状が出たりしないかと心配です」とのことですが、そういうことが起こる可能性は十分あると思います(ただし、本人にそうした暗示を与えないことも大切です)。対策についてはやはり主治医の先生に相談されるべきです。


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