精神科Q&A

【0268】高速道路でパニック障害?


Q:  38歳男性です。パニック障害では?と思っている症状があるのですが、まず精神科に診断を仰ぐべきなのかどうか迷っています。
場所と状況
  高速道路や大きな橋など、広く、真っ直ぐで高所にある道を、ひとりで運転中(比較的高い速度で)
症状
 ・まず、真っ直ぐに道をそれずに運転することへの自信を急に喪失し、不安感、恐怖感が押し寄せる。
 ・動悸がして、汗をかき、手が震え、体が固くなり、フラつく。 
 ・真っ直ぐで広い前方、高所にあるということがわかる景色を、観ていられなくなり、絶えずキョロキョロしている。
 ・意識が飛んでしまうことへの恐怖感がある。
 ・自分が自分でないような気分、気が狂って壁に激突するような恐怖感、何かに操られそうになるのを必死になって抵抗しているような感覚。
これらの症状により、高速道路においても最低速度を維持することが困難になり、できれば止まってしまいたくなる。
上記症状は、
 ・高速道路の場合、出口付近または出口に入った途端に消える。(発症条件が整えば、連続して起きる)
 ・低所、狭い道、曲がりくねった道であれば、どんなに高速を出していても起こらない。
 ・直前に車がいるときは、これを目標にできるので気分が和らぐ。
 ・高速道路に入るときには、予期不安がある。 
 ・以前は眠いときだけだったが、最近は頻繁。
以前、睡眠不足をおして、長距離運転を重ねたことがあり、このときの恐怖感が、条件反射的に現れているような気がしています。当初は、眼科、耳鼻科、神経科などの範疇なのかと感じていましたが、パニック障害の経験をもつ友人から、それはパニック障害かも・・・と言われ、その疑いを濃くしています。精神科だけでなく、病院にかかったこともほとんどありませんが、「まず、精神科」でいいものか、ご教示願います。



林: パニック障害の可能性が最も高いと思います。精神科受診が第一です。
 パニック障害には、一定の場所・場面に限って発作が起こるタイプと、場所や場面に関係なく発作が起こるタイプがあります。前者は、「広場恐怖を伴うパニック障害」といいます。「広場恐怖」というと、広い所が苦手だと解釈しがちですが、実際は広場という言葉にはあまり意味がなく、一定の場所・場面というのが本当の意味です。ですから「広場恐怖」という言葉は誤解を招くので、私の診察室のページでは、「場所に関係するパニック障害」「場所に関係しないパニック障害」という言葉に変えてあります。しかし正式には広場恐怖という言葉を使います。
 もともとは、特定の場所や場面で起こるパニック発作というものがある、と初めて発表された論文の症例が、広い所に来ると発作が起こる、という症状だったため、広場恐怖という名前をつけられたのがそもそものはじまりでした。その後、広い場所とは限らず、場所と関係するパニック発作というものがあるということがわかってきたのですが、名前だけはそのままになっているというのが経緯です。
ところで、あなたの発作は、古典的な「広場恐怖を伴うパニック障害」にかなり似ているようです。いずれにせよ、精神科の受診が第一です。


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