精神科Q&A

【0253】うつ病が一度回復傾向に向かったのですが、またすぐ悪化に向かっているようです


Q:  友人(24歳女)がうつ病の治療を始めて約1ヶ月が過ぎました。
 昨年の秋頃から大変落ち込みが強かったようで、ちょうどそのとき私は擬態うつ病の読後で、彼女の状態を聞いていると本に書かれていたうつ病の状態と重なる部分が大変多いと感じたので、脳内物質の伝達障害による脳の病気があって、正しい投薬治療でほとんどが治るらしいということと、もし受診する気になったら一緒に行くこともできるよと言うことを伝えました。
 最初は、自分がそんな病気だとは思えないようで、でもこのような状態の自分がとてもいやだ、バイト先でもちょっとしたとっさの判断ができなくなり周りに迷惑をかけていて、でも辞めることはさらに迷惑であろうから辞められないし、今まではおしゃれもして小ぎれいにしていたのに化粧をすることすらしんどく、お風呂に入ったり掃除をしたり日常の当たり前のことがとても苦痛で今までのようにできなく、そのような自分に対してとても否定的でした。
 それでもようやく受診して、投薬が始まり、1週間後にあまり効果がなかったということでその量が増やされました。その約1週間後の朝目覚めたときに「あれっ、これって普通?」と突然回復傾向を感じたそうで、私に報告電話がかかった声も張りがあって言われずとも回復してるのがわかるほどでした。その後10日ほどは通院日も含め調子がよかったそうですが、ここ2,3日また調子が悪くなったようで、電話の声がもとに戻ってしまいました。とりあえず次の予約日までまたず先生に連絡してみたらということで電話を切ったのですが、このように一度回復傾向に向かったものが、またすぐ悪化に向かうことはあるのでしょうか?

: あります。正確には「悪化」というより、「揺り戻し」とでも言うべきでしょう。
 うつ病は治る病気ですが、直線的にみるみる治っていくというわけにはなかなかいきません。波うちながら、しかし全体として見るとだんだん治っていく、というのが普通の経過です。ですからこの方の状況は「悪化に向かった」とは言えず、もっと長い目で経過を見るべきでしょう。
 この「揺り戻し」については、笠原嘉先生の軽症うつ病によく書かれています。この本の中では「揺り戻し」という言葉の他に「三寒四温」という表現も使われています。笠原先生は専門家に対しては「微小再燃」という言葉を使われているようですが、いずれも意味としては同じです。

その後の経過


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