精神科Q&A

【0249】電気ショックの効果が持続しない


Q: 私の母(55歳)は、統合失調症(精神分裂病)で1年半入院しています。お薬を飲み続けていますが殆ど効果がなく、また、多少効果のある強いお薬を飲むと、副作用の為足元がふらつき転倒してしまう為、電気ショックで治療をする事になりました。その結果、驚く程の効果があり、今まであった妄想、無表情、身の回りの事を自分で出来ない、同じ動作を繰り返す、などが全てウソのようになくなり、この病気にかかる前の元気な母に戻りました。しかし、その効果も10日程しかもたず、また病気の母に戻ってしまいました(が、以前より症状はよくなっている)。その後は電気ショック→よくなる→元に戻る→電気ショックの繰り返しです。電気ショックの後は記憶障害があるのは解っているのですが、最近、物忘れが非常に激しくなっています。電気ショックをかけると痴呆(認知症)のある人は痴呆が進むと聞いているので、それが心配です。入院した初めの頃に、先生から母は痴呆ではないと聞いていますが脳に少し萎縮があると言っていたので、今は痴呆でなくても、痴呆になりやすくなってしまう事があるのではないか?と思っています。 

: 電気けいれん療法(電気ショック)が最も効果的なのはうつ病で、抗うつ薬が効かない難治性の場合などに驚くほど効くことがあります。統合失調症(精神分裂病)には、うつ病ほどは効かないのが普通です。また効いたとしても一時的で、再発を防ぐためにはその後に十分な薬物治療が必要になります。
 あなたのお母様の場合、電気ショックの後の薬物療法の状況が不明ですので、まずそれが十分であったかどうかのチェックが欲しいところです。また、電気ショック療法をどのくらい行ったのでしょうか。これはうつ病の場合にも言えることですが、一回だけでは効いたように見えてもすぐに元に戻ってしまうのが普通です。最低でも数回(毎日続けて行うことも、一日おき程度に行うこともあります)は必要です。
 十分な回数の電気けいれん療法を行い、またその後に十分な薬物療法を行っても、残念ながら再発してしまうことはあります。この場合、再発する前に予防的に電気けいれん療法を行うということも考えられます。これはアメリカなどの論文には有効性が記されていますが、日本ではほとんど行っている所はないと思います。しかし他の方法が無効なら、考慮されるべきでしょう。
 なお、電気けいれん療法の副作用として記憶障害は確かにありますが、一時的なものです。「痴呆のある人は痴呆が進む」ということはありません。電気けいれん療法に対しては、根拠のない有害作用や非難が多いものです。いい加減な情報に惑わされると、有効な治療を受けることができなくなります。


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