精神科Q&A
【0213】 精神病があると老健施設入所は出来ませんか
Q: 63歳の父についてご相談があります。5年ほど前から物忘れ・イライラ感・暴力・自己中心的になってきて、母に対しての暴力があり、一年前には警察にお世話になってしまうほどの騒ぎを起こし、病院に入院する事になり、「脳器質性精神病」・「脳血管性痴呆」と精神科にて診断を受けました。現在入院中ですが母に対する暴力・暴言は以前とまったく変りがありません。
昨年、夏からの入院で病院からは退院を勧められ、今は老健施設への入所を勧められています。病院から「介護保険申請してください」と言う事で申請し、「介護度２」がでました。老健施設に提出する書類には「脳器質性精神病」・「脳血管性痴呆」と記載されています。ですが、老健施設に入所希望を出してもすべて「老健施設では対処できない」と言われ断られてしまいます。痴呆として診断されていても、精神病があると施設入所は難しいものなのでしょうか？
症状は以前と変わらぬままですが、「これ以上は治療しても治らない」と言うことで退院を勧められています。このような場合は精神病の場合でも入所させていただける施設はあるのでしょうか？
林: 制度の谷間にはいってしまった、深刻な問題です。
昔はこういう症状の方は精神病院が引き受けていました。しかし、精神病院の入院日数が長すぎる、収容所化しているという声が高まり、退院がどんどん促進されるようになったというのがここ20年ほどの流れです。この流れは確かにいい面もあった(いい面の方が多かったと思います)のですが、あまりに一方向に進みすぎた、あるいは何でもとにかく精神病院に入れるのはよくないという無責任かつ偽善的な声が強まったため、どこにも行きどころのない人が増えてしまうという弊害が出ています。お父様のようなケースがまさにこれにあたります。病院と施設の両方から拒否されてお困りのこととお察し致します。
実際にこういう方がどうされているかというと、受入れてくれる精神病院もあれば、老健施設もあります。症状がどの程度かによって、どちからに受入れられる可能性が高いかが決まってきます。この判断は微妙ですので、メールからはちょっと難しいですが。
制度や規則を四角四面に解釈すれば、確かに病院も施設も不可ということになるのですが、実際には必ず受け入れ先はありますので、色々な情報源を使って探すべきだと思います。