精神科Q&A

【0190】 SNRIを処方してほしいと希望したが、拒否された


Q: 30歳男性です。現在、うつ病で通院しています。処方されている薬がSSRIの「デプロメール」、「デパス」、「レボトミン」、「レンドルミン」です。先日、先生に「SNRIのトレドミンを処方していただけませんか?」と、尋ねたのですが、「あれはノルアドレナリンも関係するから、セロトニンだけのほうがいい。」と却下されてしまいました。確かに自分は情報をうのみにしてしまう悪い癖があるのですが、日進月歩で科学が進んでいる世の中、新しく開発されたもののほうが、効果も副作用の少なさも勝るという考えにどうしてもなってしまいます。病状としては軽いうつ病という診断を受けております。つまりのところ、SNRIは重度の患者さんのみ処方されるということなのでしょうか。

: 違います。間違いは二つあります。まず、新しく開発された薬の方が効果も副作用の少なさも勝るということはありません。新しい薬は古い薬に比べて何らかのいい点を持っていることは確かですが、すべてにおいて古いものに勝るということは滅多にありません。SNRIに関していえば、効果については人によっては他の薬より勝ることはあり得ます。また、副作用の種類は従来の薬とは違います。ということは、人によってはSNRIの方がいいこともあるということです。ですから、もしあなたにとって今の薬の効果が不十分であれば、SNRIを試す意味はあるでしょう。
 ただし、これが重要なことですが、新しい薬には未知の副作用がある可能性があります。歴史をふりかえってみても、良い薬として開発されたものが、何年間かでたくさんの人に処方されてはじめて重大な副作用が発見されて、発売中止になることがあります。ですから、これは私個人の考えですが、抗うつ薬に関しては、新しい薬に飛びつくのは考え物です。うつ病は従来の薬で十分治療可能ですので、新しい薬を使うのは、難治性の場合や、副作用のために従来の薬では十分な量を飲めない場合に限るべきだと思います。
 もう一つの間違いは、「SNRIは重度の患者さんのみ処方されるということでしょうか」という点です。これが間違いであるのは、上記をお読みいただいて理解されたと思います。どの抗うつ薬を処方するかということは、重症度には無関係です。抗うつ薬では、重症度に関係するのは薬の量で、種類ではありません。


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