精神科Q&A

0182】ルボックスを飲んで顔がむくむ副作用がありますか


Q: 38歳女性です。1月中旬から心療内科でうつ病の治療をしています。始めはルボックス1錠(一日)で、翌週はルボックス2錠(夕食後)ルボックス1錠(寝る前)の合計3錠になりました。それまで気がつかなかったのですが、ルボックスが3錠になった途端、翌朝、見事に顔がむくみ、ちょっと見られないような顔になってしまいました。それから2錠に減らしてみると3錠の時よりはましになりました。また少し日をあけて3錠にしてみると、やはりむくみがひどいのでお医者さんに相談してみましたら、ルボックスで顔がむくむような副作用は聞いたことがないとのこと。調べてみますとは言ってくださったのですが未だに返事はありません。今はルボックス1錠(寝る前)とマイスリー1錠を飲んでいます。おかげで眠れるようになり調子はまあまあなのですが、ルボックスを飲むと翌朝顔がむくみます。他には何も服用していません。それでもルボックスとの因果関係はないのでしょうか。

: それはルボックスの副作用だと思います。
 確かにルボックスの能書(添付文書)には、むくみという副作用の記載はありません。ですから主治医の先生が「聞いたことがない」とおっしゃったのは自然です。
 けれども、あなたには実際に、ルボックスを増やすと顔がむくみ、減らすと軽くなる(これを用量依存性といいます)ことが、繰り返し起きていますので(これを再現性があるといいます)、因果関係ありと考えるべきでしょう。ルボックスを中止し、他の抗うつ薬に変更した方がいいと思います。
 特にルボックスのような新しい薬の場合、能書や本に出ている副作用は、副作用全体の中の一部と考えるべきです。というのは、薬というものは、使用が認可されてたくさん処方されるようになってから初めてわかる副作用がいくつもあるのが普通だからです。ですから、医師には新たな副作用を発見した場合にはそれを厚生労働省に報告することが義務づけられています。そうした報告が積み重ねられて、副作用の全容が明らかになっていくものです。こう書くと薬には得体の知れない副作用があるかもしれないので不気味だと感じられるかもしれませんが、それはある意味では正しく、ある意味では間違っています。副作用の記載や報告の義務のない化学物質(これは合成したものも自然のものも含まれます)よりはずっと安全であることは明らかです。しかしそれでも未知の副作用が出る可能性は常に存在します。ですから薬というものは常に、必要性とリスクのバランスを考えて服用するものであるということになります。
 それから、ルボックスの能書にはむくみの副作用の記載はないのですが、昔から使われている三環系抗うつ薬のトリプタノールには、むくみ(浮腫)が出現することがある(頻度は0.1%以下)と記載されています。これは「再評価によって明らかになった」と書かれていますので、広く使われるようになって初めて報告されて明らかになったということだと思います。ルボックスによる浮腫の副作用も、いずれは報告が積み重ねられて能書に記載されるようになるのだと思います。そのためにも、あなたの主治医の先生がこれを副作用と認めて厚生労働省に報告してくださるといいのですが。



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