精神科Q&A

【0163】 母に薬からの卒業を勧めているのですが


Q: 77歳で一人暮らしをしている母は、20年前ごろから、うつ病の治療をうけています。現在も薬が増えこそすれ、減ることはありません。年令からくる足腰の衰えがあり、 脳も萎縮していると言われています。体はフラフラし、とても転びやすくなっています。物忘れも激しく、心細い思いをしています。「思い切ってお薬を卒業してみたら?」と勧めてみるのですが、それは不安なようです。
 1日1日をただなんとかやり過ごしているだけの母がかわいそうです。他に何か方法がないでしょうか。



: お母様の病気について、もっと詳しく主治医の先生にお聞きする必要があると思います。20年近く前からうつ病の治療を受けているとのことですが、本当にうつ病なのでしょうか? うつ病がそこまで長引くことはあまりないことです。長引いているように見えるだけで、実は一人暮らしの不安などがうつ病のように見えているのかもしれません。また、脳の萎縮があるとのことですが、どの程度なのでしょうか。脳が萎縮して出る認知症症状が、外見上はうつ病に見えることもよくあります。物忘れが激しいということも気になります。
 いずれにせよ、病気についての情報が不十分な状態で、「思い切って薬を卒業してみたら」というアドバイスは非常に無責任かつ危険です。不要な薬ならもちろん飲む必要はなく、早目にやめるべきですが、薬を飲んでいてはじめて不十分ながら安定していて、薬をやめたら悪化するのかもしれません。そういう可能性などについて、主治医の先生によくお聞きすることが第一です。もう一度言います。根拠なく「薬を卒業してみたら」と勧めることは、非常に無責任かつ危険です。たとえば高血圧や糖尿病で長年薬を飲んでいる人が、薬をやめたら大変なことになります。それと同じことです。




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