【3654】漠然とした不安感のみで精神科を受診しても良いものでしょうか

Q: 私は30歳の女性です。
10年ほど前から先生のサイトに度々訪問させて頂いております。
お忙しいだろうにも関わらず毎月の更新量の膨大さ、そして専門外の私にも理解できるような分かりやすく理路整然としたご回答をいつも興味深く拝見しています。

相談させて頂きたいのは、私は精神科を受診すべき状態なのか?ということです。
1年ほど前に4年間勤めた会社を辞めて現在の会社(サービス業・未経験職種)に転職致しました。
当初希望していたのは一般事務ですが、有り難いことに私の能力を買って頂き勤務して一か月ほどで総合職へ異動を命じられました。
そこは幅広い知識と正確さ、他部署全体を見渡せる管理能力が求められる部署でした。また数百万単位の受発注を決定する責任の重い部署でもありました。

全く違う職種から来た私にとっては毎日が学習や失敗の連続でした。自分の処理能力の低さ故にしばしば食事を抜いて業務にあたらなければならない日があり、数時間のサービス残業も当たり前になっていました。

辛いながらもやりがいを感じておりましたが、ここ2ヶ月ほど、以前は無かった症状が現れるようになりました。具体的には以下の症状です。

・朝方になると意味もなく涙が流れる。また脳内で自分なんか死んでしまえという声がする。
・会社に着く直前になると動悸がする。
・週に数回、直属の上司を私が刺し殺す夢を見る。
・通勤時に毎日、今飛び込めば会社に行かなくて済む、怒られなくて済むと考える。
・趣味や交友に対して以前より興味が無くなり休日はほぼ一日寝ている。

今まで自傷等や精神科の受診履歴はありません。
また不眠等の症状もありませんし食欲もそれほど落ちておりません。
仕事も(おそらく)2ヶ月以前よりペースダウンはしておらず、同僚と最低限のコミュニケーションは取れています。元より引っ込み思案なので人と話をするのは苦痛ですが、仕事と割り切って何とか出来ております。
日常生活に支障を来している訳でもないのに、上記のような漠然とした不安感のみで精神科を受診しても良いものでしょうか。
可能でしたらご回答をお願い致します。

 

林: これは「漠然とした不安感」ではなく、うつ病にかなり特異的な症状です。

仕事と割り切って何とか出来ております。
日常生活に支障を来している訳でもない

という今の状態は、うつ病がまだ初期であるとも言えますが、このような時期に突発的な自殺が起こることも否定できません。(しばしばうつ病の初期に自殺が「起こりやすい」と言われていますが、そこまで言えるかどうかについては私は疑問を持っています。初期であっても自殺の可能性は十分にあるというのが正しいと思います。)
現にこの【3654】ではかなりはっきりした希死念慮が認められます。
一日も早く精神科を受診してください。いったん仕事を休んで治療に専念したほうがいいと思います。

(2018.4.5.)

05. 4月 2018 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A, 自殺 タグ: |