【3608】かろうじて医学部は続けています(【2681】のその後)

Q: 【2681】かつての精神科主治医への割りきれない気持ちについて相談した20代女です。
その後の経過報告をしたくてご連絡いたしました。

境界性人格障害の診断は消え、かろうじて医学部は続けています。
表面上は社会適応しています。

ただ、その後、相談した元主治医のことは忘れられず、居住都市で精神神経系の学会が開かれる度に、学会開催期間中は入院しています。
近くに当該医師が来ると思うと不安定になるからです。

元主治医の治療を受けたのは、精神神経分野では、とても有名な病院でした。
元主治医との関係解消後10年が経とうとしています。
不適切な治療関係によって、ここまで苦しむとは思ってはいませんでした。

熱心で一見優しい精神科医が良い医師とは限りません。
有名大学や、有名病院だからといって良いわけでは無いことも重々わかりました。

一方で、医療者になるものとして、「善意の加害性」も、今はとても恐ろしく感じています。 治療者の加害性は、気づきにくいものだと考えています。

また、人格障害の診断基準が満たされない状況になっても境界性人格障害の回復はとても難しいと実感する日々です。
何年間もアクティングアウトは起こしておりませんが、自我境界性の弱さ、対人関係の不安定さは残っております。

学会の度に入院するような状況で臨床医として働くのは難しいかも知れませんが、また数年後このサイトがあればお知らせしたいと思います。

 

林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。大変な苦悩の中、並々ならない努力によって医学生を続けているご様子、お察し申し上げます。【2681】の回答の時点では、医学部を続けることは困難ではないかという印象を私は持っていたのですが、3年という年月を苦しみながらも前進されてきたことからすると、かえってこの苦悩を貴重な体験として、ご自分が医師となったときに生かせる希望が出てきていると思います。数年後のご連絡をお待ちしております。

(2018.1.5.)

05. 1月 2018 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A