【3418】私は神であると言い出した友人

Q: 20代男性です。私は現在大学生なのですが、友人の様子が最近おかしくなっているように感じます。彼は一年前にインフルエンザを発症し、その治療薬としてタミフルを服用しました。そして無理に成人式に参加し、症状を悪化させたのです。そのあとから彼の奇行が目立つようになってきました。家にもかえらず着の身着のまま一週間放浪し、所持金を持たずにタクシーに乗ったところ、明らかに言動がおかしかったらしく運転手に保護され、彼のご両親に引き渡されました。その後は回復したようで元気に過ごしたようですが、ここ最近の言動がおかしいのです。例えば、「恍惚とはまた違って、心がここにないの。 そして、その時の俺の精神は、【エーテル界】を抜け【アストラル界】へと至っている、と、こういうわけ。 全てを俯瞰してみているような感じ。 集中して一つのことに意識を振り向ければ振り向けるほど感覚が鋭敏になる。」といったように訳のわからないことを平然と言うようになったり、「子供は殺したいぐらい憎い。」と公共の場でも話すようになりました。私もさすがに様子がおかしいと感じ、彼に冷静になれと言っても、「無知が口を挟むな、黙ることを覚えろ。」と聞く耳をもちません。彼の言動はエスカレートし、「神は人が創り出したもの、つまり私も神である。」と言い始めました。正直、もう私はどうしたらよいのか分かりません。彼が何かしら行動を起こすのではないかと心配です。彼のご両親も悩んでいると思います。精神というデリケートな事柄もあって強く本人にも意見できないので、もし林先生のご返答で精神病の疑いがあるのならば、彼のご両親にも改めて連絡を入れ、彼に精神科を受診させたいと思います。

 

林:
もし林先生のご返答で精神病の疑いがあるのならば

明らかに精神病です。私の意見を聞くまでもなく明らかだと思います。一日も早く精神科を受診させてあげてください。

診断については、おそらく統合失調症でしょう。

彼は一年前にインフルエンザを発症し、その治療薬としてタミフルを服用しました。そして無理に成人式に参加し、症状を悪化させたのです。そのあとから彼の奇行が目立つようになってきました。

この発症の仕方からは、インフルエンザによる脳症、あるいはタミフルの副作用が考えられます。この時点ではインフルエンザ脳症の可能性が高いとみるのが妥当でしょう。
但し、

彼のご両親に引き渡されました。その後は回復したようで元気に過ごしたようですが、

医学的にはこの時の詳細についての情報がほしいところです。どのような治療を受けて回復したのか、そして回復したといっても、それはどの程度だったのか。完全寛解なのか、ある程度の症状は残っていたのか。脳症に関連した検査結果はどうだったのか。これ以後は薬などの治療を受けていたのか。これらの情報なしには、診断については本来は何とも言えません。
けれども、一年も経過した現在において、今回のような症状が見られることからは、当初のインフルエンザやタミフルは単なるきっかけか偶然の時期の一致にすぎず、統合失調症を発症していたと考えるのが妥当です。

しかし正確な診断が何であるにせよ、今が精神病の状態であることは明らかです。精神科での治療が必要です。

(2017.5.5.)

05. 5月 2017 by Hayashi
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