【3158】病識の無さのレベルについて

Q: 50歳代男性、会社員です。
いつも貴サイトを興味深く拝見させていただいています。
本日は、統合失調症などの「病識の無さ」のレベルついて質問させてください。

特に統合失調症関連のQ&Aにおいて「私は絶対病気ではないのです!」と断言しながらも、貴サイトに質問を寄せられている方が、多々見受けられます。
私には、このことが、少々不思議に感じられるのです。
なぜなら、仮に100%自分が精神病でないと信じるならば、貴サイトに質問を寄せることはないでしょう。自分の置かれた立場と、貴サイトをつなぐ「何かか」が存在するからこそ、質問を寄せられるのだと考えます。

例えば、次の2つの可能性が考えられます。
(1) 実は、「病識の無さ」にも「レベル」があって、貴サイトに質問を寄せられる方は、自分が病気では無いと信じる気持ちが強くある一方で、やはり、「自分はおかしいのではないか?」という気持ちも多分にあり、半信半疑ながら質問を寄せている。

(2) 自分が病気で無いことを確信しているが、周囲の反応から、どうも精神病に罹患しているような扱いを受けている気がする。その為、貴サイトに質問することで、自分が病気でないことを確実にしたい。

ただし、上記の(1)も(2)も、対象者が、ある程度、論理的な思考ができることを前提にした仮定です。言葉で定義、ご説明するのは難しいのですが、とても、「論理的な思考」に立脚したと思えない質問(例:【3101】ピザの具合)もあります。

そもそも、ここまでの症状を呈する方が、なんで貴サイトへの質問をするに至るのか、その背景となるメカニズムを知りたく考えます。

 

林: 病識について、質問者の深い洞察が感じられるご質問だと思います。質問者が挙げておられる(1)(2)は、いずれも合理的な推定で、答は「どちらの場合もある」です。
(1)については【1541】皆と同じようにiPodの手術を受けたいの回答で解説してありますのでご参照ください。【0364】向かいの家からの悪口が、私だけに聞こえるもご参考になると思います。

なお、サイトへの質問だけでなく、(1)(2)のような同様の動機で実際に精神科を受診する方もたくさんいらっしゃいます。

(2016.3.5.)

05. 3月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |