【3011】性的逸脱行為がやめられない私は躁うつ病でしょうか

Q: 30代女性です。3年程前、3度の流産を経てようやく2人目の子どもを妊娠しました。ところが双子であることが分かり、これまでの経緯から長期間の入院が必要になること、経済的な理由などから中絶手術を受けました。そのことは考えないようにして暮らしてきましたが、やる気をなくしてしまい大学院を中退し、その後に始めた仕事をしているときに、やる気はあるのに身体が思うように動かなくなってしまい、首や肩の痛みやひどい疲労感に悩まされ、結果退職しました。その数ヶ月後、旅行先で溺れている子どもを見つけ、主人が助けに行き私もパニックになり一緒に飛び込み溺れるという事故に遭いました。そのときの子どもは女の子2人で、無事でした。帰国後2週間程たっても、溺れたときの倦怠感が残り、体調が優れませんでしたが、ある日息苦しさ、顔がほてる、悪心等を感じて内科を受診すると、食物アレルギーの症状に似ているといわれ、たまたま思い当たる食物があったため、抗アレルギー薬をいただき服用しました。その後、あやまってその食物が入ったものを食べてしまい、また同様の症状が起きたため同じ内科を受診し、そこから救急車で運ばれることになってしまいました。その日はまた発作が起きるのではという不安から眠れず、入院して抗不安剤の点滴も受けることになりました。のどが締め付けられて息苦しい、手足がしびれて意識が朦朧とする、血中酸素濃度が低くなる等の症状があったにもかかわらず、アレルギー検査は陰性でした。退院後も不安が強く、ひとりでいられないなど日常生活に支障が出て来たので、近所の心療内科を受診した結果、うつと不安発作を併発したのではと言われ、ジェイゾロフトとワイパックス、ホリゾンを出されました。ジェイゾロフトは身体に合わず、いらいらしたり倒れたりが続いたので、すぐにやめ、前出2種類の抗不安剤のみを継続して服用することになりました。ベッドから起きられず、自殺願望がおこり、不安で食べ物がのどを通らない、子どもの世話もできない状態が約1年続きましたが徐々に快方に向かい、もう一度子どもが欲しいとの思いから減薬をしていた矢先、夫がやはりもう子どもはいらないと言い出し、どこの誰とも分からない2人の子どもを自分と妻の命をかけて救いに行ったのに、自分の2人の子どもはいとも簡単に殺した・・・と中絶手術を選んだ夫への怒りがわき起こってきました。そして先日、また誤ってアレルゲンを含む食品を口にしてしまい、また発作を起こしてしまい、抗不安剤をまた服用するようになりました。うつがよくなってきて夫に対する怒りがどんどん大きくなって来て、私は外出してアルコールを飲むようになり、知り合った男性と性的関係を持ってしまいました。アルコールを飲むと不安がなくなり、楽しく、怒っているのを忘れられるので、どんどん人と会う予定を入れては朝方まで飲み歩き、その間知り合った男性とメールでやり取りしたり、現在は継続して会っているような男性もいます。振り返ってみると、10年程前田舎から上京したときにも、同じようなことがありました。下宿先になじめず2週間で体重が10キロも減り、その後に無性に出歩きたくなり、昼夜となく徘徊して男性と会い、売春行為までしたことがあります。そのことは今まで誰にも言っていません。現在まで約半年間も、このような状況が続いています。外出して人と会いアルコールを飲まなければ落ち着かず、睡眠時間が足りなくても、疲れていても全く気になりません。このままでは子どもにも悪影響だし、いけないいけないと思っていても、自分ではコントロールできないのです。昨日は、継続して会っている男性と会えなかったので、以前声をかけてくれた男性に会いました。性的関係は持ちませんでしたがこのままだとどうなるかわかりません。うつのときの自分と、今の自分があまりにもかけ離れていて自分でも混乱しています。性的逸脱行為がやめられない私は躁うつ病でしょうか。ただ、うつのときに自殺未遂をして失敗し、人生一度きりだから治ったんだから好きなことをしてやろうと思っていることもあります。現在も乗り物等に乗ることや外食が不安です。この状態はそう状態と言えるのでしょうか?それとも単にうつが治って反動が出ているのでしょうか?結婚していて子どももいるのに、このような行動をやめられないことは、単に自分の考え方の問題なのでしょうか?子ども夫もすべてがどうでも良くなってしまいそうで怖いです。

林: 複雑な背景があり、様々なことが錯綜していますが、

性的逸脱行為がやめられない私は躁うつ病でしょうか。

というご質問にのみお答えします。
躁うつ病(双極性障害)で、性的逸脱行為が見られることがあるのは事実です。しかし、性的逸脱行為があることだけで躁うつ病(躁状態)であるとは言えません。躁状態のある時期だけを見れば、性的逸脱行為だけが目立つことはあり得ますが、

現在まで約半年間も、このような状況が続いています。

とのこと、半年間にわたり、性的逸脱行為だけが見られる躁状態というものは考えられません。

ここまでが精神医学の常識的な回答です。
しかしながら、

振り返ってみると、10年程前田舎から上京したときにも、同じようなことがありました。下宿先になじめず2週間で体重が10キロも減り、その後に無性に出歩きたくなり、昼夜となく徘徊して男性と会い、売春行為までしたことがあります。

過去にこのようなエピソードがあったことと、さらにうつ病と思われるエピソードがあったことをあわせると、今回の性的逸脱行為も躁状態によるという可能性を再検討する必要がありそうです。10年前のエピソード、そして今回、性的逸脱行為以外に、躁状態を疑わせる何らかの症状はないのでしょうか。(睡眠時間が足りなくても、疲れていても全く気になりません。 というのは、かなり躁状態の可能性を強める事実です。その他には何かありませんでしょうか)。躁うつ病についての本を読むなどして、確認する必要があると思います。そして思い当たることがあれば、躁うつ病(双極性障害)の躁状態としての治療を考慮されることをお勧めします。

(2015.7.5.)

05. 7月 2015 by Hayashi
カテゴリー: 性に関する問題, 精神科Q&A, 躁うつ病